世界初のレジスターは、1878年(明治11年)にアメリカのレストラン経営者、ジェームズ・リティによって発明されました。その動機は従業員による内引き防止。彼の店は繁盛していたにもかかわらず、なぜか利益が少なかったことからレジの歴史は始まります。
同じくアメリカでセルフレジが登場したのは1997年。日本に導入されたのは2003年、イオンの展開するスーパーマーケットでした。そのメリットは、①人材不足対策と人件費削減、②レジ回転率向上、③精算ミス防止、④キャッシュレス決済導入、⑤感染対策など衛生保持、⑥顧客プライバシー保護があります。
コロナ禍を経て今日、全国スーパーマーケット協会の「2023年 スーパーマーケット年次統計調査報告書」によると、スーパーマーケットにおけるフルセルフレジの設置状況は31.1%、セミセルフレジの設置状況は78.2%と普及しています。
フルセルフレジは会計・決済業務のすべてを顧客自身が行い、セミセルフレジは商品の登録をレジスタッフが行い、決済作業を自動釣銭機で顧客自身が行います。もちろん、セルフレジにも②操作に時間がかかる、③機器導入にコストがかかる、④無機質な印象を与える、⑤精算忘れや万引きのリスク、⑥対人サービスの減少といったデメリットはあります。
しかし、メリットがデメリットを上回るという判断から、今後もセルフレジ化は進んでいくことでしょう。加えて、飲食店で普及するタッチパネルによる注文も同様で、私たちが実店舗で「人」と接する機会は減っていきます。
無駄を省いてコストを下げ、生産性を高めることに異論はありません。しかし、何を「無駄」とするかは一様ではありません。受注時、会計時にお客様と交わす、ひと言ふた言のなにげない会話はすべて排除すべき無駄かどうか。
いえ、顧客との会話の中にこそ繁盛のヒントはあります。問題なのは、そうしたヒントを拾い上げ、改善改革に結びつけるべき受信側にあります。残念ながらセルフレジやタッチパネルには、まだそれはできません。
では、あなたならそれができるか。お客様のなにげないひと言ふた言、ふとした仕草や表情からお客様の心を思い、自分の心と重ねられたとき、あなたが本当にやるべき商いが見いだせるはずです。そう心に留めて、今日もお客様に向き合いましょう。
お客様の心と
自分の心と重ねられたとき
本当にやるべきことは
おのずと見えてくる