笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

やりたい人は一万人でも
始める人は百人くらい
続ける人は一人たらず
あなたはどこに当てはまるか

 

ある夏の日の夕方、その人はスイカを担いでわざわざ私の自宅においでになりました。どんなご用かと思っていたら、「今日はえらい目に遭った」と言うんです。

 

日曜日にはいつも店回りをしていたそうですが、この日も回っているうちに、青果売場がどうしようもない店があったそうです。見かねて店長呼んで、何人かで全部売場を作り変えた。

 

すると、店長がえらく丁寧に礼を言ったそうです。店員たちも一緒に頭を下げてくれた。それで、ふと気づいたらそこはライバル店だったというわけです。自分の店じゃなかったんです。

 

それで何か買わなきゃ申し訳ないと思ってスイカを買われ、私のところに寄ったんだということでした。いろいろと見ているうちに、これは許せないと思ったときは、自分の店であろうとなかろうと直さずには気がすまない。お客様への思いを強く持った方でした。

 

以上は、2005年9月に逝去した日本の流通革命の旗手、中内功さんの追悼文集「革命戦士が遺したもの」の一部です。「この資源のない国で、世界一豊かな暮らしを提供するためには、もっと使命感に燃えた人が必要だ」とは、中内功さんの言葉。まさに、この言葉どおりの希代の商人でした。彼もまた、拙著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』の主人公、倉本長治の教え子の一人です。

 

一万人が「やろう!」と決意しても、実際にやる人は百人足らずです。しかもやり続けられるのは、やりたい人百人のうちの一人。その一人と他者との違いは、使命感の有無、思いの強弱にあります。「店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる」とは、使命感を支える言葉なのです。

 

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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