笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が8月16日発表した2023年6月期の売上高は、前年比5.8%増の1兆9367億円。本業の儲けを示す営業利益は前年比18.7%増の1052億円と、初めて1000億円を超え、増収増益も34期連続と伸ばしています。

 

好調の要因は、国内客の外出需要や外国人観光客を取り込んだことに加え、プライベートブランド(PB)商品を拡大するなどして、既存店の粗利益率が改善。仕入れコストや人件費、光熱費などの増加をカバーしています。2024年6月期の売上高は前年比6.5%増の2兆621億円と初の2兆円台到達を予想し、営業利益もプラスを見込んでいます。

 

 

そのPPIHが8月24日、渋谷文化村通りの新たなライフスタイル拠点「道玄坂通dogenzaka-dori」をオープンしました。コンセプトは「道玄坂に通(みち)を拓く。上質な日常と刺激的な非日常が交差する」。渋谷の再開発が進む中、道玄坂2丁目周辺の入り組んだ路地裏の魅力を伝えるべく、複数の入り口を設けることで街の回遊性を高めています。

 

そこに開店したのがドン・キホーテのブランドのみを集めた新業態「ドミセ」です。PB「情熱価格」の中でも選りすぐりの商品や、それ以外のオリジナルブランドなど約3200点を展開しています。

 

 

売場面積は671.57㎡。店内レイアウトは、通常店のようなカテゴリ別の区分けではなく、さまざまなランキング付けをした商品が並ぶ「ドップ10」や、コスメなどを集積させた「ド美容」などのテーマごとに展開。売上が芳しくなかった商品を反省点のPOPを掲示した上で特価販売する「ドすべり」コーナーなど、ドンキならではの売場づくりをしています。

 

 

同社の企業原理は「顧客最優先主義」。全社員必携の理念ブック「源流」の冒頭には、安田隆夫創業会長が企業原理にこめた思いが次のように書かれている。

 

〈来店客の中で、「ドン・キホーテを儲けさせてやろう」という顧客は、ただの一人もいないはずだ。顧客は自らの利益と楽しみのために、ドン・キホーテが自分にとって最も好都合な店だからこそ来店し、買い物するのである。こうした当たり前の状態を、店として常に実現し、維持していかなければ今後の成長も発展もあり得ない〉

 

ここにも「店は客のためにある」と唱えた倉本長治の理念の実践がある。新著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』では、こうした倉本の教えを解説。商いの神髄を伝えることを目的に上梓しました。お読みいただければ光栄です。

 

 

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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