「義は利の本なり」は古代中国の思想家、孔子が編纂したと伝えられる歴史書「春秋」の代表的な注釈書の一つ「春秋左氏伝」にある一文。そこには「利は義の和なり」とも記されています。利とは己の利益、義とは人として守るべき正しい道や行いを意味します。利益は義を積み重ねた結果として得られるものだと、2500年前の思想家は説いています。
そんな孔子の教えを弟子たちがまとめた書「論語」に、こんな逸話があります。ある弟子が孔子に「生涯、座右の銘にすべき言葉は何でしょうか」と質問をしました。すると孔子は「それは恕(じょ)かな。自分がされたら嫌だと思うことは、人にしてはいけないよ」とこたえたというものです。恕とは和語で表すなら「おもいやり」であり、他人の立場や心情を察する気持ちです。
他者をおもいやる思想は、新約聖書「マタイの福音書」の中にも、キリストの黄金律として「自分にしてもらいたいことは、他の人にもそのようにしなさい。それが律法であり、預言者です」と記されています。
義とはおもいやり。おもいやりとは人の道。それがどれほど商人にとって大切な行動規範であるかを、論語や聖書は教えてくれます。
【今日の商う言葉】
利のもとは義であり
義とは人の道をいう
相手の都合に立つ
おもいやりこそ商い