「パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ、他者のために生きるという人間の本質に立ち返らねばならない」
こう述べるのは、ヨーロッパを代表する知性であり、フランスの経済学者・哲学者のジャック・アタリ氏。フランス政権の頭脳として長く政権中枢で重要な役割を果たしてきた人物です。
新型コロナウイルス感染症がパンデミック(世界的大流行)となりはじめた2020年4月、Eテレの特番「緊急対談 パンデミックが変える世界」の中で、人類はどのようにしてコロナを克服していくべきかというインタビュアーの問いに答えています。
「利他主義という理想への転換こそが人類のサバイバルの鍵である」
商業界創立者・倉本長治が唱えた商人の行動訓「商売十訓」の第一項にはこうあります。
「損得より先に善悪を考えよ」
自分にとっての「損得」より、他者にとっての「善悪」を優先する倉本の思想は、まさに利他主義の重要性をうたったものです。利他主義を常日頃から実践してきた商人こそ、コロナ克服していく戦いの旗手であり、なんとしても生き延びなければならない存在です。やれること、やるべきことを見据え生き残り、やりたいことを実行できる体力を養いましょう。
コロナ災禍後、実店舗小売業は大きく自己変革を求められています。これまで物財を流通する機能だけを果たしてきた店は意味を失いました。生活者は、そうした店がなくても困らなかったという事実を経験してしまいました。
このとき、規模が大きいとか小さいとかは関係ありません。いえ、小さいからこそやれることがあり、小さいからこそ変革が容易です。必要なのは、なんとしても生き残るという意思と、あなたが大切にしたいお客様に自分が何を提供できるかをあらためて考え、実行する意欲です。