笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

ある農作物生産者と話していて、「ドベネックの桶」という言葉に出合いました。植物の生長には、窒素・リン酸・カリウムという栄養素と、水・日光・大気が必要です。量の最も少ないものに、成長の出来が左右されるとする説で、「リービッヒの最少律」とも言います。

 

ドベネックの桶とは、リービッヒの最少律をわかりやすく説明するたとえ。植物の成長を桶の中の水に、桶をつくっている板を養分・要因と見立てています。いくら水を入れても最も短い板の部分からあふれ、結局水嵩はその高さまでとなります。

 

商いにおいて桶を構成する板には、マーケティングミックスの「4P」があります。
①製品(Product)
②価格(Price)
③流通(Place)
④販促(Promotion)

 

たしかに、いずれかのレベルが低ければ、成果はその低いレベル止まりでしょう。しかし、桶を形づくっているのはそれだけではありません。何より底板がなければ水は溜まりませんし、板を束ねる箍なければ桶は形を保てません。

 

では、商いにおける底板とは何でしょうか? それは収益です。商いが物の売り買いから離れられないように、桶にはしっかりとした底板が欠かせません。

 

次に、箍(たが)とは何でしょうか? 私は事業理念だと考えました。事業の目的であり、商っていく上での羅針盤です。

 

そして箍はたいていの場合、二つでひと組です。おもいやりの「愛」であり、正しさの「真実」のペアが事業理念の中核です。愛と真実、そして結果として桶には利益という水が溜まります。商いとは、愛と真実と利益、これら三位一体から成り立つのです。

 

【今日の商う言葉】
愛と真実と利益を
一致させれば
たとえ店は小さくとも
断じて滅びることはない

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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