植物が土のないところに育たないように、店とは本来、その商う地域に根づいた存在です。植物は土から水を吸い上げ、そこにある栄養を取り込んでこそ育ちます。店もまた、地域に暮らすお客様から生きる糧と商うための利益をいただいています。
ただし、その関係性は一方的なものではありません。植物ならば、根を張って菌を育て、花や実をつけ、葉を落として土壌を豊かにします。そうした豊かな土地だからこそ、目に見えない微生物から大型動物までが生きていけるのです。
植物と土壌、一方が一方を利用するのではなく、互いが互いを支えあう絆がそこにあります。その結果として、そこは豊かな生命あふれる大地となれるのです。店と地域、この関係性もそんなあたたかい絆を育むものであることを忘れてはなりません。
前提として、そこには互いの顔が見える関係性があります。商人とお客様、店主と店員、それぞれが一対の兄弟姉妹の信頼関係こそ出発点です。その証拠に、どんな大樹も大抵は一対の双葉から育つではありませんか。
互いが互いを支え助けあう信頼の交換が好ましい関係性を育みます。店とは、関係性という土壌に育つ植物です。ローカルファーストという実践も、この視点から始まります。
【今日の商う言葉】
売る者の幸福とは
買う人の幸福をつくること
だから繁盛という大樹は
幸福の双葉から育つ