日本の商業史は、産業化の歴史でもあります。それはチェーンストア経営というビジネスモデルを皆が追いかけた軌跡でもあります。供給より需要が上回っていた時代、チェーンストアは経済民主主義の錦の御旗でした。それによって私たちの暮らしが豊かになったことは間違いありません。
しかし、商売から愉しさを奪ったことも一面の事実です。チェーンストアの本質は効率化、標準化、単純化の追求にあります。このとき、私たちは大切なものを落っことしてきたのかもしれません。大切なもの、それは一人のお客様のために損得を忘れて商売を楽しむことです。
人を感動させられるのは「人」です。まずは商人が愉しい商売をしてこそ、お客様に楽しんでいただくことができます。では、何をもって「愉しい商売」というのでしょうか。それは、お客様のために愛情を注ぐことです。
「あなたの店がこのまちにあってよかった」「あなたがいるから私の人生は楽しい」とお客様に思っていただけることに繁盛の要諦はあります。企業規模、店数の多寡を問わず、これこそ私たちが目指すべき道です。
そのとき、企業規模、店数の多寡は大した意味を持ちません。お客様から言われる「ありがとう」のひと言、ここに商人の喜びがあります。お客様へ「ありがとうございます」というのは当然。お客様から「ありがとう」と言われる商いに励みましょう。
【今日の商う言葉】
売って楽しかったと
思える販売なら
きっと買ったお客様も
嬉しい買物である