「おこるな しゃべるな むさぼるな ゆっくりあるけ しっかりあるけ」
これは山口県出身の自由律俳句の俳人、種田山頭火の一句。生家の破産、離婚、出家、放浪と、59年のその生涯はけっして穏やかなものではありませんでした。しかしか、それゆえか、残された作品が今も多くの人の心を潤します。
「おこるな」とは心の平安を保つこと。私たちの心は移ろいやすく、喜んだり、怒ったり、哀しんだり、楽しんでみたりと日々刻々と変わります。山頭火はそれを受け入れた上で、それでも心を平安に保つことの大切さを自らに言い聞かせています。
「しゃべるな」とは言い訳をしないこと。どれだけ言葉をあやつり、取り繕って他者を説得できても、自分だけはごまかすことも納得させることもできません。言葉は言い訳のために使うものではありません。
「むさぼるな」とは足るを知ること。欲望を際限なく求めても、その先に心の安らぎなどありません。放蕩の末に山頭火はそのことに気づいたのでしょう。
では、どうすればいいのでしょうか。それが「ゆっくりあるけ」であり、「しっかりあるけ」だと私は思います。昨日より今日、今日より明日、少しでいいから進むことの大切さを教えてくれます。今日もゆっくり、けれどしっかり歩きましょう。
あなたの仕事も、私の仕事もそう。商いはお客様に幸せを届けようとする貴い仕事です。それを忘れて我欲を貪ろうとしても、その先にあなたの幸せはありません。
【今日の商う言葉】
苦しさに見舞われたとき
商いとは一生のうちに何人を
幸せにできるかに努める
貴い仕事であることを想おう