人間は二度死ぬと言われます。一度目は肉体が滅びるとき、そして二度目は人の記憶から消えるときです。だから私たちは死後も人の記憶に残ろうと、今を懸命に生きるのです。
あなたの死後のことを考えてみてください。後継者のところへお客様が訪ねて来て、懐かしそうにこう話してくれます。「先代には、本当によくしてもらい、お世話になったんだ」。
こう言ってもらえたら、あなたは幸せです。あなたは、二度目の死から遠いところにいるからです。そして、そう話してくれるお客様もきっと幸せなはずです。なぜなら、本当の商いとは互いの心がふれあうところに生じるものだからです。
「ふれる」と似た言葉に「さわる」がありますが、実は似て非なるもの。さわるは、相手との感情的な交流を考慮しない、一方的で物理的なかかわりです。ふれるは、相手の事情をおもいやり、感情を尊重する、相互的で人間的なかかわりです。
「接客」というとき、あなたはお客様にどちらで接しているのでしょうか。おもいやりや尊重の心をなくしたとき、私たちはお客様を無遠慮にさわっています。お客様があなたに求めているのはあくまで、ふれあいであるはずです。
「人生最後の買物はあなたからしたい」。こんなお客様からの言葉は、ふれあいを続けられた先にあります。さて、あなたにはそんなお客様が何人いらっしゃるでしょうか。今からでも遅くはありません。友と呼べるようなお客様との絆を一人ひとり育んでいきましょう。
【今日の商う言葉】
人生最後の買物は
あなたから買いたいと
言ってくださるお客様を
あなたは何人言えるか