笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

「この人に二度目の倒産を経験させるわけにはいかない」

昨年4月上旬、長く勤めてきた商業界が倒産し、ご縁ある方々へのご迷惑を最小限に留めようと、非力ながら取り組む最中のこと。ある一冊を手にしながら自身に固く誓ってから半年後、自分との約束が間もなく果たせました。

 

やまとマンは不滅

 

絶版――それは本の命が絶たれること。企業に置き換えるなら「倒産」と同じ意味を持ちます。①売れない、②著者の意向、③内容に問題がある、④不祥事、そして⑤出版社が倒産、と絶版の理由はさまざまですが、この本の場合は⑤にあたります。著者になんら落ち度もありません。

 

この本とは、山梨の地域土着スーパー「やまと」元社長、小林久さんによるドキュメンタリー『こうして店は潰れた』。2017年12月に百年超の歴史に幕を下ろさざるを得なかった小林さんが綴った、倒産と再生に向けた物語です。

 

「いいかい、倒産した者の人間関係は3種類にはっきりと分かれる。味方と敵、そして味方ヅラした人間だ。味方はありがたいし、敵はわかりやすい。いちばん気をつけなければならないのは、わかるだろ、味方ヅラしたヤツだ」

 

小林さんより2年あまり遅れて倒産を経験した私に、小林さんは経験者しか知り得ぬ知恵を私に授けてくれました。そのとき、暖房を切ったままの真冬の社長室での初対面、出版記念として閉店した店舗前での店頭販売など、小林さんとの思い出が私を包みました。

 

 

出版社を同文舘出版に変えて復活した一冊は、名前を変えて『続・こうして店は潰れた』。前作では生々しすぎて書けなかった事実、倒産から最近までの新たな展開、今この瞬間にも倒産の危機の淵にいる事業者が知るべき知恵を加えて大幅改訂。

 

大丈夫! 心配ない! 何とかなる!

 

☞月曜日

☞午前5~6時台

☞3月

厚生労働省の統計によると、上記の3要素、つまり年度末の週初めの早朝が最も自殺者数が多いといいます。また、自殺者の7割以上を男性が占め、なかでも45~64歳の中高年層で男性の自殺者の約4割を占めています。職業別では「自営業者」が急増していることも見逃すことができません。

 

 

今後、3要素にコロナ不況が加わることは確実です。今後、過去に例のない数の倒産、休廃業が確実視されるコロナ禍にあって、先ごろの朝日新聞朝刊の名物連載「ひと」に小林さんが登場したのも時代の必然でしょう。悲劇をつくらないためにも、小林さんの経験は代えがたい価値を持っているのです。

 

『続・こうして店は潰れた』の帯には「倒産すると会社は、社長と従業員はどうなるのか?」のコピー。そのすべてと教訓がここにあります。

 

それからさらに時はめぐり、今度は私が同文舘出版から出版させていただきます。タイトルは『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』。人口減少、少子高齢、成熟経済という確実な未来にあって、小さな店でも本来持っている強みを生かして生き残っていくための法則をまとめました。

 

 

併せて読んでいただけると、そこに共通する思いを感じられることでしょう。それは、あきないとはまちの暮らしを支える誇り高い仕事だということです。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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