利益とは、一人のお客様が繰り返して買物してくれることの積み重ねにほかなりません。いくら客数が多くても、二度、三度と来店してくれない店はやがてなくなります。真の繁盛は、お客様が繰り返して利用したくなるよう店にのみ訪れるのです。
はじめはたった一人のお客様から信頼されることから繁盛は始まります。信頼を得るためには何が必要でしょうか。誠実さと革新、この二つだけがあればいいのです。
天保2年(1831年)、飯田新七が京都で古着木綿商を始めたとき、店則を「品物の良し悪しは明らかにこれを顧客に告げ、一点の虚偽あるべからず」と定めました。商売とは誠実一路であるべきと、髙島屋創業者、飯田新七が生涯をかけて切り開いて見せてくれた道がここにあります。
天和3年(1683年)、越後屋三井呉服店の創業者、初代三井八郎右衛門は「店前現銀無掛値(たなさきげんきんかけねなし)」と正札販売を掲げ、さらに「この品御意に入り申さず候わば、いつにてもお戻し遊ばざるべく候。代銀返上仕る可く候」という無条件返品保証の約束を江戸中に引き札を配ってうたいました。一人のお客様のために、商人としての責任を負い通す商売が今日に続く老舗ののれんを育んだのです。
正直で、親切で、うそのない、信頼される人柄を養いましょう。人間性、誠実さ、徳や愛というものを、お客様は価格の安さよりも求めています。商売とは、商人とお客様が友人となるところから始まるのです。
こうした本当の商いは継続して儲からなければ続けられません。そのためには、常に変わり続ける決意を持ち、実践を止めないことです。川を上るように漕ぎ続けなければ後退するだけです。常に変わり続けてこそ、私たちは継続していくことができるのです。
では、あはたは今日、何を変えるのでしょうか。