「一人のお客の喜びのために誠実をつくし、一人のお客の生活を守るために利害を忘れる」とは商業界草創期の指導者の一人、岡田徹の言葉です。
「買いたいというお客があっても、めったに売ってはあげない」「心から一人の人を喜ばせることが、どんなに難しいことか」とは商業界創立者、倉本長治の『倉本長治短詞集』からの数行です。
商いの使命は、商品を通じてお客様に本当の喜びと満足を提供することにあります。ただ、その思いがどのように徹底されているかです。表面だけの親切心程度に終わっていることが多いのではないでしょうか。
ヨークベニマルの創業者、大高善雄さんは「お客様がひと切れの潮鮭を見ているとき、本当は懐の財布の中を見ているんだよ」と言いました。この意味がわかったとき、それに応えられる本当の商人になれるのです。
神戸の婦人服店、紅屋の松谷彰久さんは「それを売らないで済ませることができる販売員こそ、本当の商人」と言いました。お客様には買っていただかないほうが、その人のためになるという商品もあるのです。
あなた自身がお客様の心になったとき、あなたの愛はお客様に届きます。そこまでなりきれる努力と精進を重ねましょう。そのとき、お客様はあなたを信頼する者、すなわち信者となってくれるのです。
【今日の商う言葉】
儲けるという字を
信じる者と書くように
信者をつくるのが
本当の商いである