正しきに
よりて滅びる
店あらば
滅びてもよし
断じて滅びず
商業界の草創期の指導者であり、広告宣伝の第一人者だった新保民八の遺した言葉です。「いやいや、正しくても潰れる店はある」と言う人がいることでしょう。私も30年に及ぶ取材経験の中で、そうした事例にたびたび出遭ったものです。
しかし、じつは新保の主張には続きがあります。私にはこちらこそ新保が皆に伝えたかった本意ではないかと思うのです。それが伝わらなかったのは、花王の宣伝担当役員としても活躍した名コピーライターと名高い新保の誤算でしょう。
古くして古きもの滅び
新しくして新しきものまた滅ぶ
古くして新しきもののみ永遠にして不滅
何が古いのでしょうか? 何が新しいのでしょうか? 前半のそれらは伝統や歴史であり、思想の熟成度といった経営の “在り方”を指します。後半のそれらはビジネスモデルであり経営手法、つまり経営の“やり方”を指します。
いくら在り方が成熟していても、経営手法が革新性を失えば滅びます。経営手法が革新的でも、在り方が未成熟であればやはり滅びるのです。唯一、永遠にして不滅たりうるのは、時代のニーズをとらえた革新的な経営手法と、正しさに裏打ちされた在り方の組み合わせのみなのです。
【今日の商う言葉】
古くして古きもの滅び
新しくして新しきもまた滅ぶ
古くして新しきもののみ
永遠にして不滅です