店主とともに滅びぬために
「人手不足だから」 「自分がやるしかないから」 そう言って、朝から晩まで売場に立ち、仕入れも帳簿もクレーム対応も一人で抱え込む店主は少なくありません。責任感が強く、真面目で、店を大切に思っているからこそ、つ […]
「人手不足だから」 「自分がやるしかないから」 そう言って、朝から晩まで売場に立ち、仕入れも帳簿もクレーム対応も一人で抱え込む店主は少なくありません。責任感が強く、真面目で、店を大切に思っているからこそ、つ […]
店の仕入れ伝票や帳簿を見て、思わずため息をついた経験のない商人はいないでしょう。原材料、燃料、電気代、人件費……。どれも自分ではコントロールできないものばかりが、じわじわと、しかし確実に経営を締め付けています。 &nbs
人手不足が常態化するなかで、「人が辞めない店」があります。給与水準が特別高いわけでも、最新の福利厚生が整っているわけでもない。それでも人が残り、育ち、店の空気をつくっていく。 こうした店を取材していると、あ
商いの現場では、「それはもう知っている」という言葉が無意識のうちに使われます。売上の数字も、客数の推移も、人口減少も、原価高騰も――確かに私たちは多くのことを知っています。 それでも、店が苦しくなる。 それ
「どうしたら儲かるでしょうか」 商人と向き合うなかで、幾度となく聞いてきた問いです。売上を伸ばしたい。利益を出したい。その思いは誰にとっても切実です。その問いに正面から答えようとすると、私はいつも、ある言葉
「この商品、何度告知しても反応がない」 「チラシもSNSもやったのに、誰も来てくれない」 多くの店主がそう嘆きます。しかしじつはそれ、“反応がない”のではなく、“まだ認知されていない”だけかもしれません。
2020年春、大きな転機にいた私に、気さくに声をかけてくださったのが瀬尾正忠さんでした。 セオサイクル本店のほど近くにある事務所。質素なその空間で、何度も向かい合って話をさせていただきました。瀬尾さんは時間
「それ、タイパ悪くないですか?」 「そこまで手をかける意味、ありますか?」 こうした言葉が当たり前のように交わされる時代になりました。タイパ(時間対効果)、コスパ(費用対効果)は現代の共通言語です。忙しい現
商いの現場で、「この店は信じられる」「この人から買いたい」と感じる瞬間があります。価格や立地、品揃えだけでは説明できない、その感覚の正体。それは、日本語が長い時間をかけて磨いてきた「まこと」という一語に宿っているのではな
朝の陸前高田--。店の扉を開けると、焙煎したての豆の香りが、まだ冷たい空気に溶けていきます。湯を注ぐと、ふわりと立ち上る香り。その一杯はただのコーヒーではありません。酒かすで発酵させた「純米酒粕発酵珈琲」は、陸前高田市の