何のために
どれだけ儲けるかを
もう一度考えよう
それが商いの出発点だ
金さえ儲かればよい。それが商売というものだと、大切な人生を無駄にしていないでしょうか。わずかばかりの生計の費えを得たいばかりに、うわべだけの笑顔をつくっていませんか。嘘混じりの説明でお客様を欺くような商売を恥ずかしいことと思いませんか。
人間の誠実さ、美しさ、あたたかさは尊いものです。商売がそれらを生け贄にわずかなお金を得るものと思うなら、すぐにやめたほうがいい。そんな恥ずかしい商売なら、やらないほうが世のため、人のためになります。ほんとうの商売とは、そんな底の浅いものではありません。
朝、店を開けるとき、あなたの気持ちは喜びにふるえるはずです。あなたの仕事は、心の内で「ありがとう」と言ってくれるお客様を育てること。一日たった一人でもいい、お客様という名の友だちをつくることです。そこにあなたが商人として人生をかけて悔いない道があります。
あなたは、何のために儲けているのでしょうか。儲けとは未来を明るく照らす灯火の燃料なのです。それを肚に落としたとき、あなたの商いは大きく開かれます。もっと美しく、もっと立派な生き方が、この仕事に内にあることを知るでしょう。
どれだけ儲けるか? 事業者はそれを事業計画として表現しなければなりません。事業計画は目的に近づくために設ける目標だからです。関わる人が今日できる数字で表現されるべきであり、算盤が合っていなければなりません。
しかし、と私は言いたい。目標はあくまで目的に近づくための手段です。目的を忘れ、ないがしろにして目標に突き進んだ末、儲けることが目的となった事業者も数多くいました。その多くは、今はいません。損得より先に善悪を考える、ここから外れた商いはやがて消えていくのです。