人の才能は、見た目や性格では決まらない──あなたの組織や店で、能力のある人財を見落としてはいませんか。
江戸時代の儒学者・荻生徂徠は、人財を正しく活かすための心得を残しています。その教えは、今の人財不足時代にこそ、光を放ちます。
1. 好みで判断せず、多様な人財を活かす
徂徠はこう言います──「己の好みに合う者のみを用いる勿れ」。
自分の価値観や好みに合うかどうかで人を判断してはいけません。組織や店の成長には、多様な才能を受け入れる柔軟さが必要です。
広島県のある書店では、スタッフの一人が少し風変わりなアイデアを出しました。当初、店主は「自分の好みではない」と採用を迷いましたが、思い切って任せると、そのスタッフが企画したイベントが話題を呼び、新規顧客を大幅に増やしました。偏見で判断せず、多様な視点を活かすことがマネージャーの務めです。
2. 任せるときは権限と責任を丸ごと委ねる
徂徠はさらにこう教えます──「持ちうるには其の事を充分に委ねるべし」。
仕事を任せる際には、単に作業を指示するだけでなく、責任と裁量も含めて任せることが大切です。人は自由に判断できる環境でこそ、本領を発揮します。
北海道帯広市のあるカフェでは、スタッフに新しいランチメニューの企画を任せました。「仕入れ、価格設定、販促まで自由にやっていい」と裁量を与えたところ、スタッフの工夫による限定メニューがヒットし、月間売上が15%増加。信頼と権限の委譲が、創意工夫を引き出しました。
3. 上下関係で無用な競争を生まない
徂徠はこうも警告しています──「上のある者、下にある者と才智を争うべからず」。
上司と部下を能力で競わせることは、嫉妬や摩擦を生むだけです。それぞれの役割に応じて力を発揮できる環境を整えることが大切です。
北海道旭川市のある自転車店では、ベテラン整備士と若手スタッフが互いのやり方を競い合って、それが作業効率を低下させていました。そこで店主は、ベテランには難易度の高い修理を、若手には顧客対応や簡易整備を任せる役割分担を明確化。結果、効率が向上し、顧客満足度も改善しました。無用な競争を排し、役割を明確にすることの効果です。
4. 適材適所で用いれば、人は必ず応える
徂徠は結論としてこう述べています──「かくて良く用うれば人物は必ずこれあり」。
偏見を捨て、任せるべきところを任せ、無用な競争を避ける。これにより、人は能力を発揮し、組織や店に成果をもたらします。
静岡県三島市のあるアパレル店の話です。新規スタッフは接客に不安がありましたが、SNS発信が得意だったため、その役割を任せました。SNS経由での来店者が増え、スタッフは自信を持って貢献できるように。適材適所の人材活用が、組織の成果につながった好例です。
荻生徂徠の人材活用の心得
荻生徂徠の人財活用の心得は、現代の中小事業者にこそ有効です。単なる数合わせの「人手」を、指示に的確に応える「人材」へ、さらには自ら考え行動する「人財」へと育てるためにこそ徂徠の教えを活かしましょう。
1.好みで判断せず、能力で選ぶ
2.任せるときは権限と責任も丸ごと委ねる
3.上下関係で無用な競争をさせない
4.適材適所で活用すれば、人は必ず応える
偏見や不安で人材を抑え込むのではなく、信頼と適切な配置で能力を引き出す。これが、人財不足時代における組織・店の成長の鍵です。




