笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

「いい本書いたねえ」と電話越しにお褒めくださったのは、仙台秋保の名店「主婦の店さいち」の佐藤啓二さん。昨年秋のことでした。初めて取材でご縁をいただいてから15年あまり。前著『売れる人がやっているたった四つの法則』にご登場いただきました。

 

「いい本」とおっしゃってくださったのは新著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』。献本させていただいたところ、すぐに電話をくださったのでした。「うちの店で販売するから、本を送ってほしい」とのこと。

 

新著に佐藤さんやさいちのことは一切書いていません。それなのに、とお礼申し上げたら、「お礼を言いたいのはこっちだよ」と明るい声が返ってきたことを昨日のことのように思い出します。

 

じつは佐藤さん、新著の主人公、倉本長治の教え子なのです。秋保の温泉へ食料品を納める卸だった佐市商店を、若かりし佐藤さんは「本当の商売がしたい」とスーパーマーケットに業態転換しました。

 

夫人の澄子さんとともに日々の商売にいそしむものの、競合他店との価格競争に巻き込まれ、明日の見えない商売に暮れていました。なんとか活路をつかもうと、佐藤さんは倉本の主催する商業界ゼミナールに参加しました。

 

壇上の倉本の言葉に、自分が目指す商売の正しさを確信、その余韻に浸りながら帰りの電車で隣り合わせたのが栃木県でスーパーマーケットを営む商人でした。佐藤さんは悩みを打ち明けたところ、その商人はスーパーのイロハを佐藤さんに伝授。以来親しく交流を続け、さいちのおはぎの原点もそこで学んだものでした。

 

「だから、うちが今こうして商売を続けられているのも、倉本先生と商業界ゼミのおかげなんだよ」と佐藤さん。佐藤さんの訃報を耳にし、通夜に参列する前にさいちに立ち寄ったところ、店内に陳列される拙著を目にしました。

 

新著にさいちは出てきませんが、そこには佐藤さんから学んだことが書かれています。もう、あの明るい声は聴けませんが、佐藤さんの教えはこれからも後に続く商人たちを励まし続けることでしょう。こちらの写真は商業界ゼミナールでの一枚。高崎のスーパー「まるおか」丸岡守さんと三人の写真は私にとって大切な一枚です。

 

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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