先日、夕方の帰宅ラッシュ時に駅の構内を歩いていると、手元ばかりを見て歩く“あんちゃん”がいました。いわゆる「歩きスマホ」です。「迷惑だな」と思いながらすれ違うと、彼が読んでいたのはスマホではなく厚い「専門書」でした。その瞬間、私の心の中での評価は逆転し、「迷惑なあんちゃん」から「勤勉な好青年」に変わったのです。
この体験は、同じ行為でも場所や時間、状況によって評価が180度変わることを教えてくれます。そしてこの「評価の逆転」は、商売や接客の現場でも同じように起こるのです。
二宮金次郎の教えと売場
二宮金次郎が薪を背負いながら読書する姿は、日本人に勤勉さの象徴として長く語り継がれています。しかし彼が評価されたのは、交通量も人通りも少ない農村の道での行為だったからです。混雑した駅や商店街で同じことをすれば、周囲に迷惑をかけ、「勤勉」ではなく「非常識」と見なされます。
売場でも同じです。どんなに意図が正しくても、タイミングや状況を考えずに行動すれば、顧客にとって迷惑になることがあります。
たとえば、
商品説明を熱心にしすぎて、他の客の邪魔になってしまう
レジで長く質問対応しすぎて、待つ人が不快になる
売場の演出に夢中で、顧客の動線を妨げる
善意や熱意だけでは、評価は「好意的」ではなく「迷惑」に変わるのです。
売場で持つべき3つの視点
1.場所の意味を考える
売場や通路は「顧客共有の空間」です。自分の行動が他の顧客の体験にどう影響するかを意識することが、接客や商品陳列の基本です。
2.時間帯や状況を意識する
ピークタイムの混雑時に長時間の接客をすれば、他の顧客のストレスになります。一方、空いている時間ならじっくり説明しても好印象です。状況に合わせた行動が、顧客からの評価を大きく変えます。
3.顧客目線に立つ
自分の意図は正しくても、顧客にはどう映るかは別です。「この商品を伝えたい」よりも「顧客が迷わず快適に買い物できるか」を優先することが、マナーある接客につながります。
顧客視点に立ったセルフチェック
以下の5項目を意識することで、あなたの行動が「好意的」に受け止められるかを自己確認できます。
1.通路・動線をふさがないか
顧客がスムーズに歩けるか。商品説明や陳列作業で邪魔になっていないか。
2.混雑時と閑散時を見極めて行動しているか
混雑時は短めの接客や説明、空いている時は丁寧な対応を意識。
3.顧客の関心に合わせて説明しているか
自分の話したい内容ではなく、顧客が知りたい情報を優先しているか。
4.周囲の状況に注意を払っているか
他の顧客やスタッフの動きに気づき、迷惑になっていないかを確認。
5.行動の結果を想像できるか
「この行動で顧客は快適か、迷惑か」を常に考えているか。
「勤勉」と「迷惑」の境界線
駅構内で見た好青年の読書は、状況次第で評価が逆転することを教えてくれました。売場でも同じで、接客や陳列の善意や熱意だけでは評価は決まりません。
大切なのは、「この場、この時間で自分の行動は顧客にどう映るか」を考え、配慮ある行動を選ぶことです。このチェックリストを活用すれば、売場での行動も、顧客から「好印象」として受け止められるでしょう。
➡今日の問いかけ
あなたの売場での行動は、顧客にとって快適ですか? それとも、自分では正しいと思っても迷惑になっているかもしれませんか?








