笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

商いの現場では、欲望や利益追求が動力になることがあります。しかし、過剰な欲や節度を失った行動は、繁盛どころか失敗を招くことがあります。

 

イソップ童話は、欲望と節度のバランスを学ぶ絶好の教材です。今回は「北風と太陽」「農夫と黄金の蛇」「漁師と魚」の三つを題材に、現代商売に生かす教訓を考えましょう。

 

「北風と太陽」
──力づくより柔軟さ

 

北風と太陽が旅人の上着を脱がせようと競争しました。北風は力任せに吹きましたが、旅人はますます上着を強く抱きしめます。太陽が温かく照らすと、旅人は自然に上着を脱ぎました。

 

商売も同じです。強引な押し売りや値引き競争では顧客は離れてしまうことがあります。柔軟で自然なアプローチ、つまり相手の立場に寄り添う提案が、最終的に信頼と購買につながります。

 

あるカフェでは、新商品を無理に売り込まず、試飲や小皿サービスで自然に体験してもらう方法に変えました。結果、顧客は好意的に受け取り、口コミも広がりました。強制より共感の力が成果を生むのです。

 

➡明日すぐできる一歩
商品の紹介や接客で「押していないか?」をチェックしてみましょう。柔らかい提案が、逆に購入の近道になります。

 

「農夫と黄金の蛇」
──善意は見極めとともに

 

ある日、農夫が雪の降る冬の朝、息絶えかけた蛇を見つけました。寒さで動けなくなっていた蛇を見過ごせず、農夫は家に連れ帰り、暖めて介抱しました。やがて蛇は元気を取り戻します。ところが本性は変わらず、感謝どころか、ある日突然農夫を襲おうとしたのです。農夫は裏切られた思いに打ちひしがれました。

 

この物語は、「善意が常に報われるわけではない」という現実を教えています。助けた相手が必ずしも恩を感じるとは限らず、ときに危害を加えてくることさえあります。商売においても同様で、誰にでも無条件で尽くすことが正しいとは限りません。相手の本質や信頼性を見極め、適切な距離感を持つことが不可欠です。

 

ある問屋では、長年取引していた小売店に無理な掛売りを繰り返し応じていました。しかし結局支払いが滞り、経営に大きな打撃を受けることに。そこで以降は「取引先の信用をしっかり確認する」「善意を仕組みによって守る」ことを徹底し、安定した経営を取り戻しました。善意は大切ですが、相手を見極めたうえで発揮することが、持続的な繁盛を支えます。

 

➡明日すぐできる一歩
顧客や取引先との関係を見直し、「信頼できる相手に、正しく誠実に尽くしているか」を点検してみましょう。

 

「漁師と魚」
──欲を先に出すと失う

 

漁師が小さな魚を捕まえました。魚は命乞いをして、「今の私は小さいけれど、海で育てば大きくなる。そのときに捕まえればもっと得になる」と訴えました。しかし漁師はこう答えました。「目の前の小さな利益でも確実に手にしたほうが、大きな利益を夢見て逃すよりよい」。そして魚を料理鍋に入れました。

 

商売でも「いま手にしている成果を確実に活かすか、それとも『もっと』を追って危うくするか」で結果が変わります。ある雑貨店では、人気商品を少量仕入れてまずは着実に売り切り、その実績をもとに次の発注や展開を計画しました。その堅実さが顧客の信頼を生み、リピーターを増やしました。確実に活かす姿勢が繁盛を呼び込むのです。

 

➡明日すぐできる一歩
今日得られた成果や売上を見直し、「確実に活かせる行動」を一つ決めて実行してみましょう。

 

欲望と節度のバランスを知る

 

北風と太陽が示す「柔らかい働きかけの力」、農夫と黄金の蛇が教える「善意には見極めが要ること」、漁師と魚が語る「確実に活かすこと」。いずれも商いに欠かせない知恵です。

 

商いは、善意と警戒、欲と節度のバランスで成り立つ営み。イソップ童話の知恵を明日の商売に活かし、焦らず、油断せず、確実に一歩ずつ前進しましょう。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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