笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

高い志を持つことの重要性

◆今日のお悩み

世間から賛否の声があがるプロジェクトを任されました。必ず社会的意義はあるのに、批判されると気持ちが揺らぎます。

 

時代を変える仕事は、いつの時代も賛否の狭間にあります。社会にとって本当に必要なことほど、すぐには理解されにくいものです。ですから、まずは「批判の声がある=意味のないこと」と捉える必要はありません。

 

むしろ、周囲の反応が分かれるということは、そこにこそ社会に対する「問い」や「挑戦」が含まれている証です。その重みを引き受けるために、今こそ問われるのが「あなた自身の志」なのです。

 

私が尊敬する実業家のひとりに、長野県小布施町の栗菓子メーカー「小布施堂」第七代目当主、市村次夫さんがいます。かつては一般的な観光地向け土産菓子が中心だった同社は、人口1万人に満たない町にありながら、今や全国から多くの人々を惹きつける“文化の拠点”へと変貌しました。

 

その転換点は、地元に根差す老舗が、あえて「大量生産・大量販売」に背を向け、伝統と創造を両立する道を選んだことにあります。

 

代表作「朱雀(すざく)」は、地元産の栗をふんだんに使った贅沢な逸品。1日に作れる数は限られ、しかも賞味期限はたったの30分。その非効率ともいえる商品設計に、当初は社内外から「なぜそんな商売を?」と疑問や批判があったそうです。

 

しかし市村さんはこう語っています。「私たちは、栗を売っているのではない。栗を通して、土地の誇りを届けているんです」。

 

この言葉に私は深く胸を打たれました。志とは、利益や評判ではなく、「この事業を通じて、何を世の中に伝えたいか」という信念です。

 

批判の声に揺れるのは当然です。しかし、そのたびに「なぜこの仕事に取り組むのか」と自らに問い続けてください。そして、あなたのプロジェクトが誰かの未来を少しでも良くするものであるなら、その志を曲げてはいけません。

 

たとえすぐに理解されなくても、真に価値あることは、必ず時が証明します。むしろ批判を受けたときこそ、志の純度を見直す好機です。耳を傾けるべき声と、聞き流すべき雑音とを見極める感性が、リーダーには求められます。

 

志を貫くには、三つの姿勢が大切です。

 

理念に立ち返る
その仕事は、誰のために、何のためにあるのか? 自問しながら理念とつなぎ直すこと。

 

信頼できる仲間と語る
批判の嵐にひとりで立ち向かう必要はありません。思いを共有できる仲間の存在が、あなたを支えてくれます。

 

「小さな成果」に目を向ける
たとえ世間全体に伝わらずとも、喜んでくれる一人の姿があれば、その意義を確かめる手がかりになります。

 

志があるから、批判があっても進み続けられます。志があるから、迷いのなかでも人と向き合えます。志があるからこそ、やがて世の中は動いていきます。

 

あなたが任されたプロジェクトが、社会の未来に貢献するものであるなら、どうか信じて歩みを止めないでください。志を持って進む人の歩みは、いつか必ず“道”になります。

 

#お悩みへのアドバイス

志あれば道は拓ける
批判こそ成長の兆し
信念貫き声を聴け
一人の笑顔が答えにつながる

 

※このブログは、東海道・山陽新幹線のグリーン車でおなじみのビジネスオピニオン月刊誌「Wedge」の連載「商いのレッスン」を加筆変更してお届けしています。2年間24回をもって連載は終了させていただきますが、毎号、興味深い特集が組まれていますので、ぜひお読みいただけると幸いです。また、これまでのコラムはオンラインメディア「Wedge ONLINE」でもお読みいただけます。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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