笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

「フォロワーは増えたのに、売上が伸びないんです」

 

最近聞いた、ある店主の言葉です。SNSでの発信に力を入れ、写真も工夫し、投稿頻度も上げた。フォロワーは数千人に増え、いいねもつく。それでも来店は増えない。売上も変わらない。やがて投稿に追われ、疲れ、何のために商いをしているのか分からなくなる……。

 

そんな声は、いま各地で聞かれます。SNSは強力な道具です。しかし、それに振り回されてしまえば、本来の商いの軸を見失います。では、本当に店を支えているのは誰でしょうか。

 

毎週のように来てくださるお客様。顔を見れば名前が浮かぶお客様。「いつもの」と言ってくださるお客様。その一人の存在が店の売上と空気をつくっています。商いにおいて最も大切なのは数ではなく「関係」です。そしてその象徴が「常連」という存在です。

 

常連客は “信頼”の積み重ね

 

常連客は、ある日突然生まれるものではありません。一度、二度と来店を重ねる中で、少しずつ信頼が積み上がっていく。その結果として、「また来る理由」ができていきます。商品が良いだけでは足りません。価格が安いだけでも続きません。「この店だから来る」と思っていただける関係があって初めて、常連は生まれます。

 

そして常連客は、売上以上の価値を持っています。来店のたびに安定した売上を支えてくれるだけでなく、店の良さを自然に周囲に伝えてくれる存在だからです。広告は一度きりかもしれませんが、常連客の言葉は何度も繰り返されます。しかも、それは信頼の上に成り立っています。

 

フォロワーは大切です。店の存在を広く知っていただくきっかけになります。しかし、その多くは「見ている人」です。一方で常連客は、「関わる人」です。来店し、商品を使い、体験を重ねる。その中で、店との関係が深まっていきます。

 

フォロワーが千人いても、来店がなければ売上にはつながりません。しかし、たとえ数人でも、確かな常連がいれば店は続きます。重要なのは、どれだけ多くの人に知られているかではなく、どれだけ深く関わっている人がいるかです。

 

一人との関係が店の未来をつくる

 

常連客の力は、さらに大きな広がりを持ちます。「あの店、いいよ」という一言で、新しいお客様が来店することがあります。紹介されたお客様は、最初から信頼を持って来店します。そのため関係が深まりやすく、次の常連へとつながっていきます。こうして店は、静かに、しかし確実に広がっていきます。

 

では、どうすれば常連は生まれるのでしょうか。特別なことではありません。目の前のお客様一人ひとりに、丁寧に向き合うことです。顔を覚える。前回の会話を覚えている。その人に合った提案をする。その積み重ねが「この店に来る理由」になります。

 

すべてのお客様を一度に大切にすることは難しいかもしれません。しかし、目の前の一人を大切にすることは今日からできます。その一人がやがて常連になります。そしてその常連が店の未来を支えます。

 

これからの時代、情報はますます増え、店は簡単に比較されます。その中で選ばれる店になるために必要なのは数字ではありません。関係です。フォロワー数ではなく、「また来たい」と思ってくださる人の数です。その積み重ねが店を強くします。

 

一人の常連は百人のフォロワーより強い――その意味を実感できる店は、流行に左右されず、長く続いていきます。目の前の一人を大切にすること。そこから、すべての商いは始まるのです。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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