笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

未来は外にある

店の中にいる時間が長くなるほど、私たちの視野は自然と狭まっていきます。日々の売上、在庫、仕込み、発注、スタッフ対応――。もちろん、どれも大切な仕事です。しかし、忙しさに身を委ねるほど、外の変化に気づかなくなり、同じ場所で足踏みしているような感覚に陥ります。

 

けれど、商いの世界が教えてくれる本質はいつも同じです。未来は店の内側ではなく“外側”にあります。外へ出ることで、私たちは自分の可能性に気づき、店の未来を描くヒントを得ていきます。

 

外へ出ると、どんな良いことが起こるでしょうか。

 

自店の「物差し」が変わる

 

自分の店の強みや課題は、外を知らなければ見えません。他店に触れ、他地域の文化に触れ、別業界の工夫に触れる。そのたびに、比較の軸が変わり、これまでとは違う“物差し”で自分を見つめ直すことができます。

 

ある地方のベーカリー店主は、毎月必ず繁盛店を訪ね歩くことを習慣にしていました。理由を尋ねると、「うちは田舎だから仕方ない、という自分の思い込みを壊したかった」と語ります。

 

外へ出るたびに、彼は気づくのです。「ここは負けていない」「ここはもっと良くできる」と。その繰り返しが新商品の開発を生み、スタッフの学びを促し、今では地域外からもファンが訪れる店に成長しました。視野が広がると、強みの輪郭も広がっていく――そのことを彼の歩みが教えてくれます。

 

“学び”が体に落ちる

 

本を読むことも、SNSで情報を得ることも大切です。しかし、実際に現場へ足を運ぶと、その学びは“実感”へと変わります。売場の空気、働く人の表情、商品に込められた思想、店主が大切にしている哲学――。これらは画面の向こうではけっして伝わりません。

 

ある酒販店の若き店主は、他県の老舗酒店を訪ねた際、店に足を踏み入れた瞬間に息を呑んだといいます。棚の並べ方ひとつにも理由があり、銘柄の選び方にも明確な思想があり、顧客との会話にも深い信頼がありました。

 

帰り道、彼がぽつりと言った言葉があります。「自分はまだ本気ではなかった」。その気づきこそが改革の起点となり、その後わずか一年で彼の店は大きく変わりました。未来は、学びが“腹落ち”した瞬間から動き出します。

 

仲間が生まれる

 

店にこもっていると、経営はどうしても孤独になります。けれど、外へ踏み出せば、同じ思いで商いをしている仲間と出会えます。励まし合い、知恵を分け合い、ときに叱咤激励し合える仲間の存在ほど、心を強くするものはありません。

 

ある地方都市では、専門店主たちが自主的に学びの会を開きました。きっかけは一人の店主の「もう少し良くなりたい」という小さな声でした。集まった仲間たちが互いの悩みを語り、知恵を出し合い、月に一度の“学びの夜”を重ねるうち、商店街全体に活気が戻りはじめました。

 

外へ出ることは、孤独を希望に変える第一歩なのです。未来は、仲間とつながった瞬間に加速します。

 

未来は外にある

 

未来は、待っているだけでは訪れません。未来は外側にあります。そして外へ出ることは、難しいことではありません。

 

・いつもと違う店を視察してみる
・別業界のセミナーに参加してみる
・遠くの商人の発信をフォローしてみる

・長く連絡していなかった取引先に連絡してみる

 

どれも小さな一歩です。しかし、その一歩さえ踏み出せば、見える景色は大きく変わります。

 

外へ出れば、新しい学びがある。
外へ出れば、自分の強みが見えてくる。
外へ出れば、仲間とつながる。
そして外へ出れば、店の未来が動き始めます。

 

商いとは、未来へ向かって歩く営みです。だからこそ、外へ、外へ。あなたの未来は、今日踏み出すその一歩の先にあります。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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