笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

商いへの評価は帰った後に決まる

店で買い物をすると、会計を終えた瞬間に商いが一つ完結したように感じます。商品を袋に入れ、「ありがとうございました」とお見送りをする。売る側にとっても、買う側にとっても、そこが区切りのように見えるからです。

 

しかし、本当の評価はその後に始まります。お客様が店を出て、家に帰り、商品を使い、ふとした瞬間にその店のことを思い出す。そのとき心にどんな印象が残っているか。じつは、商いの価値はそこにあります。

 

レジは取引の終わりではありません。むしろ、店の評価が始まる入り口なのです。

 

帰宅してから始まる本当の評価

 

買い物の本当の評価は家に帰ってから始まります。袋を開けたとき、箱を開けたとき、商品を使い始めたとき、その瞬間、お客様は心の中でこう問いかけています。

 

「この店で買ってよかっただろうか」

 

そのとき、「やっぱり良い店だった」と思っていただけたなら、その商いは成功です。反対に、どれほど接客が丁寧でも、商品を使ったあとに満足が残らなければ、その店の印象は長く続きません。

 

商いの評価はレジではなく、お客様の暮らしの中で決まるのです。料理店であれば、食卓で料理を口にした瞬間。洋服店であれば、着て外出したとき。日用品であれば、使い始めたとき。その体験の中で、「この店でよかった」と思っていただけるかどうかが店の未来を決めます。

 

多くの店が、会計のあとで「またお越しください」と声をかけます。もちろん、それも大切なことです。しかし、お客様が本当に「また行こう」と思う瞬間は、店の外にあります。料理を食べているとき。商品を使っているとき。家族に話しているとき。そのとき、自然に「この店、よかったよ」という言葉が出る。この一言が、次の来店を生みます。

 

広告や宣伝よりも、信頼している人の言葉のほうが強い力を持つことは、多くの商人が経験していることでしょう。つまり、繁盛店は売場の中だけで商いをしているのではありません。お客様の暮らしの中まで含めて商いをしているのです。

 

 

売った後にこそ表れる店の姿勢

 

仙台市にある食品スーパー「主婦の店さいち」は、おはぎで知られる店です。一日に何千個も売れることもある名物商品ですが、この店の評判を支えているのは、おはぎそのものだけではありません。

甘さを抑え、毎日食べても飽きない味にしていること。家庭で食べることを想定した素朴な仕上がりにしていること。その工夫はすべて、「家に帰って食べる瞬間」を考えているからです。

 

お客様が食卓で一口食べたとき、「また食べたい」と思うかどうか。そこに心を尽くしているからこそ、多くの人が店を訪れます。売場の中での演出だけではなく、帰宅後の体験まで想像して商品をつくる。その姿勢が、長く愛される理由になっています。写真を掲載した鹿児島県さつま町の「やまのくちストア」もそんな店の一つです。

 

売上はレジで生まれます。しかし、信頼は家で生まれます。お客様が帰宅し、商品を使い、「この店で買ってよかった」と思う瞬間。そこから次の来店が生まれます。だからこそ商人は、売場の中だけを見ていてはいけません。

 

お客様の暮らしの場面を想像しましょう。この商品は、家でどう使われるのか。この味は、食卓でどう感じられるのか。この一品は、どんな時間をつくるのか。その想像力を持つ店は強くなります。

 

商いは売った瞬間では終わりません。むしろ、そこから始まります。お客様が家に帰り、ふと思い出したとき、「あの店で買ってよかった」と思っていただけるかどうか。その一瞬が店の未来を決めるのです。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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