笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

心の曇りを拭う

師走。日を追うごとに街があわただしさを増し、店も一年の締めくくりに入ります。年末恒例の「大掃除」は、売場だけでなく、心にも必要です。埃を払うように、思い込みや惰性を一つずつ片づける――それが、次の繁盛への第一歩になります。

 

埃を払うように心の曇りを拭う

 

棚を動かし、床を磨き、窓を拭くと、驚くほど師走の透き通った陽の光が入ってきます。それと同じように、心も一年のうちに小さな埃が積もっています。思いどおりにならなかった出来事への不満、他人と比べてしまう焦り、いつの間にか形だけになった仕事の習慣……。

 

それらをそのままにしておくと、売場の空気まで曇ってしまうものです。「店は、店主の心を映す鏡」と言います。掃除の前に一度、静かに目を閉じて、自分の心の中に溜まった“ほこり”を見つめてみましょう。気づいた瞬間から、心の空気が変わり始めます。

 

感謝を磨くと、売場が光る

 

ある和菓子店のご主人は大掃除の朝に必ず、こう一言つぶやくそうです。「この一年、店を訪ねてくださったすべてのお客様、ありがとうございます」。そして、使い込んだ什器や包丁に手を合わせてから掃除を始めるのです。

 

掃除の基本は「感謝を形にすること」。磨くという行為には、「大切にしたい」という意思が宿ります。お客様を迎えるカウンターを拭く手に心がこもれば、その温度は必ず伝わります。単なる清掃作業ではなく、感謝の儀式としての掃除を習慣にしたいものです。

 

心を整えると、判断が冴える

 

忙しさの中では、つい「片づけはあとで」と思いがちです。しかし、乱れた売場を前にして最も乱れているのは、実は心のほうです。整理とは、決断です。何を残し、何を手放すか。その選択力こそ、商人に必要な「経営の筋力」です。

 

心が整っていると、決断も早く、迷いも少ない。逆に、心が散らかっていると、情報も人も空気も滞ります。掃除は、単なる美観の維持ではなく、判断力の再起動なのです。

 

売場の前に自分を磨く

 

繁盛店の共通点は、「掃除が行き届いていること」だとよく言われます。それは清潔という意味だけではありません。店主自身が整っているということです。言葉づかい、姿勢、表情、そして心。外をきれいにする前に、自分を磨くこと。それが師走の商人の務めです。

 

昭和を代表する経営指導者、倉本長治はこう言いました。「店を清めよ。心を清めよ。心が清まれば、売上は自然に伸びる」。まさにこの言葉が師走の朝に響きます。

 

掃除は繁盛の第一歩

 

大掃除とは、単なる年中行事ではなく、次の一年の準備です。汚れを落とすことより、余分な執着を手放すことに意味があります。埃を払うたびに、「ありがとう」「また頑張ろう」と心が軽くなる。その清々しさが、新しい年の繁盛を呼び込むのです。

 

だから、売場を整える前に、まず自分の心を磨きましょう。きっと、掃除のあとには、目には見えない“光”が売場に差し込んでいるはずです。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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