今日から12月、いよいよ師走です。「師が走る」と書くこの月。忙しさに追われる季節だからこそ、改めて問いかけたいことがあります。──あなたは、何のために走っていますか?
走ることは、焦ることではない
朝から電話が鳴り止まない。仕入れも納品も年末の催事も、すべてが押し寄せる。そんなとき、心の中でつぶやきたくなる言葉があります。「師走は、本当に忙しい……」。そう、“忙しい”とは“心を亡くす”と書くように。
しかし本来の「師走」の由来は、僧侶が檀家を回って読経に走る姿から来ています。つまり、「人のために走る」ことこそ、師走の本意なのです。焦って動くのではなく、志を携えて走る──そこに、商人としての姿勢が表れます。走りながらも顔を上げ、お客様の笑顔を見逃さない。
そんな店こそ、年の瀬に光ります。
仕事に追われず、志に導かれて働く
師走は、店も人も「追われる季節」。しかし、追われる働き方では長く続きません。重要なのは、「何のために働くのか」という志です。
福岡市のある青果店の店主は、年末になると早朝に市場へ仕入れに行き、深夜まで箱詰めを続けます。それでも疲れを見せません。理由を尋ねると、こう答えました。「暮れの野菜は、お正月に家族が集まる食卓を飾るもの。僕は“家族の笑顔”を仕入れているつもりなんです」。
この言葉に、商いの本質があります。“売るため”ではなく、“誰かのため”に走るとき、人は疲れない。師走とは、そんな“心のエンジン”を見つめ直す月なのです。
あわただしさの中に「静けさ」を持つ
忙しいときほど、心を鎮める時間が必要です。開店前の5分、閉店後の3分でも構いません。深呼吸をしながら、「今日、自分は何のために走ったか」を振り返ってみましょう。志を忘れずに働く人は、慌ただしさの中でも美しく見えます。
繁盛している店には、共通の静けさがあります。それは「整った空気」。スタッフの動きに無駄がなく、言葉におもいやりがある。それを生むのは、店主自身の落ち着きです。走りながらも、心の中に“止まっている自分”を持つこと。これが、師走を乗り切る商人の秘訣です。
年の瀬は、誰もが忙しく、時間に追われがちです。けれど、走ること自体が目的になってしまえば、本末転倒です。志を見失った走りは、ただの疲労を残すだけ。一方、志を燃やして走る人の足跡は、必ず次の年の繁盛へと続きます。
今日から師走。あなたの一歩一歩が、誰かの笑顔へとつながっています。どうか慌てず、焦らず、心を澄ませて走ってください。師走は、心を亡くす月ではなく、志を思い出す月なのですから。







