「たかが小さなミス」と思っていたら、後になって大きな損失につながる――
これは、事故や問題の発生パターンを示す心理・安全の法則「ハインリッヒの法則」で明らかになっています。1930年代にアメリカの安全管理の先駆者ハーバート・ハインリッヒが提唱したもので、典型的には次の比率で表されます。
「1件の大事故の背後には、29件の軽微な事故やヒヤリハットがあり、さらにその背後には300件の小さな異常や注意不足が存在する」
商売の現場でも、この法則はそのまま当てはまります。小さなミスに目を向け、改善する習慣が繁盛につながるのです。
些細なミスが大問題を防ぐ
島根県のある飲食店の事例です。スタッフが厨房でソースの配分を間違え、味が少し変わったことがありました。その場ではお客様からのクレームはありませんでしたが、店主は「小さな変化も記録して改善しよう」と考え、毎日の作業チェックリストに追加しました。
結果、スタッフ全員が手順を見直すようになり、誤配や食材の無駄が激減。さらに数カ月後、重大な食材ロスやクレームにつながるようなミスを未然に防ぐことができました。
別の事例では、小売店の陳列作業で毎日少しずつ商品が乱れることがありました。最初は「たいしたことではない」と見過ごされていましたが、店長が週ごとにチェック表をつくり、乱れた商品をすぐ戻す習慣をつけました。
結果、見た目の美しさが維持され、売上も前月比10%増。小さな注意が、お客様の信頼や購買行動に直結したのです。
小さな失敗が大きな事故を防ぐ
ハインリッヒの法則を商売に活かすには、「小さな問題を見える化する」ことが重要です。
日々のヒヤリハットを記録する
「レジでお札を間違えそうになった」「商品を落としそうになった」など、些細なことでも書き留めます。
共通パターンを見つけて改善する
記録を振り返ると、同じ作業で同じミスが起きやすいことに気づきます。
スタッフ全員で共有する
個人任せにせず、チームで改善策を話し合うことで、再発防止の意識が高まります。
改善策を段階的に実施する
一度に大きな変更をするのではなく、小さな改善を毎日積み重ねることで、習慣化しやすくなります。
このように「小さな異常の段階で手を打つ」ことが、後の大事故や大きな損失を防ぐ最大のポイントです。
最初の一歩が二歩目に続く
ハインリッヒの法則は、商売における安全・信頼・品質向上の基本を教えてくれます。「小さな失敗」を軽く見て放置すると、大きな事故や損失につながる。しかし逆に言えば、小さなミスに注目し改善すれば、繁盛店の土台が築けるのです。
今日からできる第一歩は何でしょうか。まず、一日の終わりに「今日ヒヤリとしたこと」を三つ書き出してみましょう。さらに、そのうち一つを翌日改善する方法を考え、実行します。改善した結果を翌週に振り返り、次の小さな改善につなげるのです。
この小さな行動を毎日続けるだけで、店の安全性・信頼性・効率は着実に向上します。やがて「小さな改善の積み重ね」が、お客様に安心感を与え、再来店や口コミを生む力になるのです。
商売はリスクと隣り合わせですが、ハインリッヒの法則を意識すれば、未然に問題を防ぎながら着実に成長できます。小さな一歩が、あなたの店の未来を守り、繁盛への道を切り開きます。







