笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

四大古典思想に学ぶ“売る”を超えた哲学

商いとは、単なるモノやサービスの売買にとどまるものではありません。そこには人との関係、社会とのつながり、自分自身の在り方が問われる、「生き方」としての奥深さがあります。

 

この複雑で変化の激しい時代にあって、いまこそ見直したいのが、古典の知恵です。中でも、東洋思想の巨星である孔子・老子・孟子・荘子の四者は、それぞれに異なる「商いの道」を示してくれます。

 

ここでは、「商いの四大古典思想」として、それぞれの哲学を比較しながら、現代の商いにどう活かすかを探っていきます。孔子老子孟子荘子それぞれについては、これまでのブログをご参照ください。

 

孔子──「道徳と信頼」で店を築く

 

孔子が説いたのは、「仁・義・礼・智・信」を基本とした道徳中心の哲学です。商いにおいては、「誠実であれ」「信頼を築け」「道を踏み外すな」という教えとして活かされます。

 

たとえば、短期的な利益よりも、長期的な信頼を大切にする姿勢。お客様のために正しいことを貫く勇気。こうした「義を見てせざるは勇なきなり(論語)」の精神が、孔子商法の根幹です。

 

キーワード:信義・礼節・正しさ
商いの姿勢:信頼第一、正しさを貫くまじめな商い

 

老子──「力まず整えよ」自然体の商い

 

老子は、「無為自然」を説いた思想家です。あえて何かを仕掛けず、自然の流れに身を任せる中で物事は整うという教えです。

 

商いにおいても、「売ろう」と力まず、「整える」「伝わる」状態を大切にします。過剰な販促よりも、店の空気や商品そのものの魅力を丁寧に整え、人が自然に集まる状況をつくるのです。

 

また、「足るを知る」ことも老子の重要な教え。拡大一辺倒ではなく、身の丈の商いを楽しむことが、結果として長く愛される商いにつながります。

 

キーワード:無為自然・柔軟・足るを知る
商いの姿勢:争わず、力まず、自然にまかせる静かな繁盛

 

孟子──「志と民本」で人を想う商い

 

孟子は、孔子の弟子の系譜にありながら、より人間の「心」や「志」に重きを置いた思想家です。彼の教えの核心は「民を貴しと為す」=人を中心に考えること。

 

商いにおいては、「何を売るか」ではなく、「なぜ売るのか」「誰のために売るのか」という志のあり方が問われます。民の暮らしや安心、未来への責任を考える商いこそ、孟子的商道です。

 

また、孟子は「誠と信」を強く説いた点でも商いとの相性がよく、顧客との約束を守ること、正直であることの大切さを改めて私たちに教えてくれます。

 

キーワード:志・信義・民本
商いの姿勢:人を思い、まっすぐに続ける志ある商い

 

荘子──「自由自在」に遊ぶように商う

 

荘子は、老子の思想を発展させた哲学者で、自由で束縛のない「逍遥遊(しょうようゆう)」の境地を説きました。商いにおいても、他と競わず、評価に縛られず、「自分らしい在り方」を貫くことが重要だと教えてくれます。

 

また、荘子の有名な思想に「無用の用」があります。すぐに役に立たないものの中にこそ、真の価値があるという視点は、今日の“意味”や“共感”を重視する時代にこそ力を発揮します。

 

「売れ筋」よりも「自分が本当に良いと思えるもの」を大切にする。その自由で軽やかな商いが、結果として多くの共感を生むのです。

 

キーワード:自由・無用の用・遊び心
商いの姿勢:縛られず、競わず、自分らしく軽やかに続ける

 

あなたはどの道を選びますか?

 

 

以上、孔子、老子、孟子、荘子それぞれの商いの道を見てきました。どれが正解ということはありません。時代や環境、あなた自身の性格や商いの規模によって、しっくりくる道は違うでしょう。

 

しかし、どの道にも共通しているのは、「商いとは、人を大切にする営みである」ということ。そして、“どう売るか”より“どう在るか”が問われているということです。

 

商いにこそ思想がいります。今の時代、技術やノウハウだけでは人の心は動きません。あなたの店にどんな思想があるか。なぜ、それを売るのか。どんな未来を描いているのか。

 

その「問い」と「志」が、他店との違いを生み出し、唯一無二の魅力を生み出します。孔子の誠実、老子の自然、孟子の志、荘子の自由──あなたの商いには、どの思想が息づいていますか?

この記事をシェアする
いいね
ツイート
メール
Picture of 笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


新刊案内

購入はこちらから

好評既刊

売れる人がやっているたった4つの繁盛の法則 「ありがとう」があふれる20の店の実践

購入はこちらから

Social Media

人気の記事

都道府県

カテゴリー