笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

「なんだか、あの店は行きたくなるんだよなあ」

 

こうした声を、お客様からいただいたことはないでしょうか。あるいは、あなた自身がふと足を向けたくなる店に、心当たりはありませんか。

 

価格が特別に安いわけでもない。品揃えが圧倒的なわけでもない。なのに、なぜか人が集まる。そんな店には、共通して“目に見えない工夫”が隠されています。商品や陳列、接客といった表面的な工夫のさらに奥に、「空気のような魅力」が漂っているのです。

 

小さな“声かけ”が空気をつくる

 

大阪の下町にある和菓子店を訪ねたときのことです。暖簾をくぐると、まだ小学校に通うかどうかという男の子が、店員さんに元気に「こんにちは!」と声をかけていました。

 

すると店主は、「あら、〇〇くん、今日もええ顔してるね」と笑顔で返しました。会話はほんの数秒。しかし、店内にいた全員の表情がほころび、空気が一気に柔らかくなったのを感じました。

 

この店は、決して派手な売場ではありません。でも、客足が途絶えることがないのです。人が集まる理由は、こうした“目に見えない交流”にこそありました。

 

また、ある雑貨店では、入口に入るとほんのりとアロマの香りが漂い、落ち着いた音楽が流れています。そして、スタッフの立ち位置や声のトーンも、来店客に“安心感”を与えるよう計算されていました。

 

その店主はこう語ります。「うちはモノを売るというより、“心が休まる場所”でありたいんです」。目に見える商品以上に、目に見えない気配りや空気感が価値となっている例です。

 

人が集まるのは“心が集まる”から

 

共通しているのは、どの店も「人の気持ち」を中心に据えているということです。

 

・名前を覚えて呼びかける
・目を見て丁寧に挨拶する
・ちょっとした会話を大切にする
・何気ない変化(髪型、表情、持ち物)に気づく

 

これらはどれも、売上に直結しない“非効率”な行動かもしれません。しかし、こうした日々の積み重ねが、「ここに来ると元気になれる」「あの人に会いたい」という感情を生むのです。つまり、店とは“商品”ではなく“心”を売る場所である、という視点が大切なのです。

 

マーケティング理論やITツールがいかに進化しても、「人の心を動かす」のは人でしかありません。チラシの訴求力や、SNSの発信力だけでは届かない温度が、店にはあります。

 

目に見えない工夫とは、つまり「心を尽くすこと」。その積み重ねが、“売れる店”ではなく、“応援され、集まる店”を育てるのです。

 

今日もまた、誰かがあなたの店の前を通ります。その一瞬に、どれだけ心を込められるか。それが、繁盛の入口です。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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