笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

売上を伸ばすために、客数と客単価を見ることは欠かせません。連載ブログ「商人の数字」第1回では客数、第2回では客単価を取り上げました。では、客単価を高めるために、最初に見るべき数字は何でしょうか。それが「買上点数」です。

 

買上点数とは、お客様一人が一回の買物で何点の商品を買ってくださったかを示す数字です。計算式は、販売点数を買上客数で割るだけです。たとえば一日に300点の商品が売れ、買上客数が150人であれば、買上点数は2点です。つまり、お客様一人あたり平均して2点の商品を買ってくださったことになります。

 

この数字が大切なのは、客単価の中身を分解して見られるからです。客単価は「一品単価×買上点数」で決まります。客単価が下がったとき、それは高い商品が売れなくなったからなのか、買っていただく点数が減ったからなのかを見極めなければ、対策を誤ります。値上げだけで客単価を上げようとすれば、お客様の負担感が強まることがあります。しかし、買上点数を高める工夫であれば、お客様にとっても便利で、店にとっても売上改善につながります。

 

たとえば食品店であれば、主菜だけでなく副菜や調味料を提案する。衣料品店であれば、シャツに合わせるインナーや靴下を勧める。文具店であれば、ノートと一緒にペン、付箋、ファイルを並べる。これらは押し売りではありません。お客様が使う場面を想像し、「これも一緒にあると役に立ちます」と気づかせる提案です。

 

買上点数は、売場の関連づけの力を映します。商品がただ並んでいるだけでは、お客様は必要なものだけを買って帰ります。しかし、用途別、場面別、悩み別に商品が組み合わされていれば、「そういえば、これも必要だった」と気づいていただけます。買上点数を増やすとは、余計なものを買わせることではありません。お客様の暮らしや仕事が、より便利に、より楽しくなるように、店が先回りして提案することです。

 

そのためには、単に平均点数を見るだけでなく、商品別、部門別、時間帯別にも見ていく必要があります。どの商品とどの商品が一緒に買われているのか。どの部門では一品買いが多いのか。催事のときだけ点数が増えているのか。こうした数字を追うと、売場づくりや接客のヒントが見えてきます。

 

特に専門店では、買上点数は接客の成果とも深く関係します。お客様の目的を聞き、使用場面を尋ね、困りごとを理解すれば、必要な商品を自然に提案できます。「これもいかがですか」ではなく、「その使い方でしたら、こちらもあると便利です」と伝えることが大切です。そこに専門店らしい知識と親切があります。

 

人口減少が進み、来店客数を大きく増やすことが難しい時代です。だからこそ、来てくださった一人のお客様に、どれだけ満足して買物をしていただけるかが問われます。買上点数を見ることは、店がお客様の用事をどれだけ深く受け止めているかを見ることでもあります。

 

数字は、売場を責めるためにあるのではありません。売場をよくするためにあります。買上点数が低いなら、まだ提案できる余地があるということです。関連陳列を見直す。POPで使い方を伝える。接客で一言添える。小さな改善の積み重ねが、やがて客単価を支え、店の利益を支えます。

 

一人のお客様に、もう一つ役立つものを届ける。その積み重ねが商いの力になります。買上点数は、店の提案力と親切心を映す数字です。ここを押さえ、買上点数アップに取り組みましょう。

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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