「おかえりなさい。」と大きく記された大判の店舗パンフレットの表紙。この3月1日、奈良県橿原市に2500坪という世界最大店舗としてリニューアルオープンした「無印良品イオンモール橿原」のものです。古い日本家屋の茶の間に転がるランドセルの写真からは、誰もが懐かしさを感じるでしょう。
この「おかえりなさい。」は何を意味しているのでしょうか。それは実際に店舗を訪れて感じてほしいのですが、私が感じたのは、日本が古来大切にしてきた、物を大切にするくらしであり、家族の団欒であり、伝統を大切にする生活様式であり、自然に寄り添う生きかたでした。良品計画という芯に哲学が通った企業が、本気でめざそうとしていることがわかります。
頁をめくると、「古今新生。」というコピーが現れます。その脇に次の文章があります。
「新しい店舗が目指すのは、人やものをつなぐ循環の拠点となる場所。古い歴史や文化を絶やすことなく受け継いできたこの土地で、無印良品はふつうの商品の展開はもちろん、使い終わったものを回収して再生したり、古い家具を修理して新たな持ち主へつないだりする「ReMUJI」の活動を始めます。歴史と現代が調和するこの土地に、古いものの価値をあますことなく受け継ぐ仕組みを作ることで、無印良品は地域に深く根を下ろしていきたいと考えています」
古今新生とは、古き良きものを今に新しく生まれ変わらせること。大量生産、大量流通、大量消費、そして大量廃棄を良しとして膨らんできた近代産業にNOを突きつけ、新しい持続と成長の在り方を示す新店。「それは、大手だから」という前に、あなたにもできるし、やるべきことは何か? そんな視点で視察してみてはいかがでしょうか。