笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

青森しんまちと言えば

じっくりと検討し、異業種の商人仲間の中でもまれ、磨かれ生まれる「逸品」。自信を持って奨められる逸品の存在は、店の品揃えも、店の在り方も、商人としての意識をも変え、まちに活力を生み出します。「一店逸品運動」とは、店がお客様に自信をもってお奨めできる商品、すなわち「逸品」を扱うことで店の活性化を図ろうという個店の活性化策です。

 

JR青森駅から西へ延びる青森市新町商店街にある伊香電器は、今では全国の一店逸品運動を代表する店として知られます。しかし、かつては配達業務が主で、店の中にも外にも段ボールが山積みという店でした。初めて一店逸品運動で炊飯ジャーを打ち出し、店頭で試食会をしたとき、「『ここって家電店だったんだ』とお客様に言われました」とは、伊香電器の伊香佳子さん。

 

しかし、毎年逸品に取り組むことで店の品揃えは変わり、店頭も改善され、今では、立ち寄れば必ずハッとする逸品、暮らしに役立つ商品が置いてあると評判の店になっています。数年を経て、店の品揃えも、店の在り方も変わります。これが一店逸品運動の本当の効果なのです。

 

一つの商品が当たれば、次々とフェアを打ちたくなるものですが、限られた商圏の消費者にとってはすぐに珍しくはなくなります。1年に一品、じっくり異業種の人たちにもまれながら生まれてくる逸品だからこそインパクトは大きく、店も自信を持って打ち出せます。1年をかけて「運動」として続けるのはこんな理由からなのです。

 

本当に役に立つ商品、本当に求められる商品を探し出し、顧客に提案する――それは商店のそもそもの役割です。専門店としての目利きを発揮できれば、顧客の店への信頼はさらに増していきます。一店逸品運動とは、商いの原点に立ち返る運動なのです。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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