「ガチャガチャ」「ガチャポン」「ガシャポン」「ガチャ」「ガシャココ」と、地域や年代によってさまざまな呼び方をされるカプセルトイ。あなたはどの呼び方がしっくりくるでしょうか。
カプセル自動販売機自体はアメリカで考案された球体ガムの小型自動販売機がその始まりとされ、やがて球体ガム以外に球体カプセルに小さな玩具を入れた販売も始まり、アメリカで流行。日本ヘは1965年に輸入され、1970年代に全国各地に広まったとのこと。
商店街、観光地、商業施設など、街のあちらこちらで見かけるようになりました。日本カプセルトイ協会によると、製造元出荷ベースでの市場規模は約1150億円。前回調査(2022年度)の720億円から159.7%アップとなり、カプセル玩具市場が急成⾧していることを示しています。同協会がヒアリングして回答を得た34社のメーカー希望小売価格の合計と他メーカーの販売状況などを考慮して算出しています。
コロナ禍中の2020年頃より店舗型の専門店の出店が増えはじめ、多くのテナントが退店した大型商業施設の空き区画への出店増加、さらにファッションビルや百貨店、駅構内や路面店など様々な形でカプセル自販機の設置が増加。2023年度には200店舗以上のカプセルトイ専門店がオープンしています。専門家によると、これまでに4度のブームがあったそうです。
第1次は1980年代。1983年に「キン肉マン消しゴム(通称:キン消し)」が発売され、当時の小学生の間で一大ブームとなった後、1985年発売の「SDガンダム」も大ヒット。1970年代まで1回10円~50円だったカプセルトイの価格は、このころ1回100円に引き上げられています。
第2次は1995年ごろ。200円の商品が登場し、フルカラーフィギュアや着せ替えフィギュア、シューター付きのコマなど、100円では表現できない、よりハイクオリティな商品に注目が集まりました。このころから、大人のコレクターを満足させるようなシリーズや商品のラインナップが充実し、カプセルトイを楽しむ年齢層も広がり始めたようです。
2000年代に入ると、第3次ブームが到来。大人の女性にもアピールする、デザイン性・作家性を強く押し出した商品が多く展開されはじめました。アイデアの新鮮さや“サブカル感”で勝負する新鋭メーカーも現れ、中でも「コップのフチ子」シリーズは、SNSとの相性の良さもあり大ヒットしました。
第4次ブームのもたらしたはインバウンド需要。空港に設けられたたカプセルトイコーナーは、海外からの観光客に好評のようです。また、「設置場所さえ見つかれば低コストで運営できる」という、カプセルトイならではの強みを活かし、観光地やホテルにカプセルトイ筐体を設置するケースが多く見られるようになりました。
現在は、第5次カプセルトイブームの真っ只中。牽引者はZ世代で、「ガチャを回す→集める→かわいくカスタマイズする→SNSに投稿」という流れで楽しむ“ガチャ活”が流行しています。価格帯は300~500円が主流となっており、1000円以上の商品も珍しくありません。中には2500~5000円程度の高額なガチャもあり、商品の種類やクオリティの幅は、価格とともに拡大しています。
こうなると、気になるのが在庫です。日本カプセルトイ協会によると、「設置台数が増加したことに伴いカプセル自販機内に在庫として滞留している商品やベンダー会社の在庫となる商品が10%ほどあるとみられるため販売ベースでは1000億円ほどではないか」と見ています。主要製造国である中国の人件費の高まり、円安や原材料の高騰を受け、今後は企業の優勝劣敗が進むでしょう。
カプセルトイについて関心を持ったのは「カプセルトイ界のニトリ、ユニクロになりたい」という言葉でした。発言したのはトーシンの宮本達也社長。同社は帯広市に本社を置く、カプセルトイショップ「#C-pla(シープラ)」を中心に事業を展開するアミューズメント専門店。じつはコロナ禍中に急成長した企業です。
日本経済新聞によると、「トーシンの売上高のうち、独自商品の割合は現在1〜2%。宮本社長は『10%ほどに高められれば』と語る。カプセルトイは月に500〜600種の新商品が生まれる。トーシンの商品開発部では現在、月10種ほどを商品化しているが、将来は同50種ほどを開発したい考えだ」といいます。
小売業の歴史を振り返ると、革新は常に地方から起こります。カプセルトイ業界と、新たなSPA(製造小売り)企業の今後に注目したいと思います。