知人から教えられ、手にとったのが日経ビジネス臨時増刊号「徹底予測2025」。ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんのインタビュー記事が掲載されていました。タイトル「大企業にはなりたくない」は、柳井さんの次の言葉からとられています。
「うちの標語で、『ノーチャレンジ、ノーフューチャー』という言葉がある。チャレンジしないところに未来は来ない。勇気をもってチャレンジし、引き寄せないと、会社が大きくなって良くなればいいけど、たいてい悪くなるでしょ。だから『大企業』には何の意味もない。『大企業』にはなりたくない」
売上高10兆円を目標に掲げている同社ですが、その目標は大企業になることではなく、「世界一のブランド」になることにあります。大きいことと強いことはイコールではありません。いたずらに規模だけが膨張し、質を伴わずに大企業病にかかり、市場から退場していったことはこれまでに何度もありました。
では、質を高めて強くなるために柳井さんは何を大切にしているのでしょうか。柳井さんはこう続けています。
「店舗が一つの単位で、そのために本部があり会社がある。会社があるのはお客様のためです。『店は客のためにあり、店員とともに栄え、店主ととともに滅びる』という言葉がある。そのとおりですよね」
拙著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』でも、柳井さんはこう記しています。
「店は、経営者のためにでも、社員のためにでも、株主のためにあるのでもありません。何より、店はお客様のためにあります。それを勘違いする人がじつに多い。お客様のために役立たなかったら、他のどんな人に役立っても店の存在意義などありません。お客様のために一途になること。それが成果を生み、結果として株主や社員、そして経営者も幸せになれるのではないかと思います」
そしてチャレンジについて。こちらも発言にぶれがありません。
「人は、失敗を繰り返さないと成長しません。失敗するからこそ、考えることを学ぶのです。だから何度でも失敗してほしい。その経験を通じて学び、成長してほしいのです。失敗を恐れないでほしい。何もしないほうがよほど恐ろしいことなのです」
「店は客のためにある」ことを柱に据え、失敗を恐れず挑戦する。2025年冒頭に、あらためて決意し、実行しようではありませんか。