「とても簡単なことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」
フランスの作家であり飛行機乗り、サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』の名言を思い出したのは、昨日ブログで記した観察力の大切さからでした。星の王子さまの友だちのキツネが彼に言った言葉です。
見る、観る、観る……
「みる」という言葉を表わす漢字は「見る」だけではありません。「観る」「視る」もあれば、「看る」「診る」もあります。特に仕事において
「見る」とは、直接的、間接的に目で対象となるものの存在や状態を認識することです。つまり、対象が目に映る状態をいい、そこに主体性や積極性はありません。
「観る」は、ある対象となるものを理解しようと能動的に見ることです。目で対象を見ることをいい、念入りにものを見るとか、ぐるりと見回すといった意味です。芸術や文化に関連する言葉として、注意深く観察し、深い理解や感動を伴う行為を指す場合もあります。
「視る」は、ある対象のうちの一点の詳細を集中して見ることです。目で対象の詳細に迫ることを言い、視点を一点に集中させてよく見ることを表わします。「注視」「凝視」といった漢字や、「視線を注ぐ」という言葉にも使われます。
私たちは「目」という器官を使って、こうした3種類の「みる」を使い分けています。「見る」ことばかりに終始していると、「観る」ことも「視る」こともできなくなります。ものごとは「心で見なくてはよく見えない」のです。
鳥、虫、魚、蝙蝠の目
また、どのような視座から「みる」かも、思考を深めるために大切です。鳥、虫、魚、蝙蝠(こうもり)という四つの生きものの視座を駆使しましょう。良いアイデアが得られたり、悩みが解決する糸口を見つけられたりするでしょう。
「鳥の目」とは、俯瞰することができる視座です。視野の広さをいい、飛ぶ鳥のように広い範囲を見渡すことです。根本的な原理原則を理解ことであり、目的地を明確にすることであり、計画の全体像を把握することです。
「虫の目」とは、物事を小さく小さく細分化し、掘り下げて細かく見る視座です。視野の深さといえるでしょう。たとえば、売上が上がらないなら、客数・客単価・購買頻度に分解してそれぞれに原因を追求してみることです。
「魚の目」とは、大局的な時流を読むことであり、視野の長さをいいます。たとえば、参入する市場が導入期・成長期・成熟期・衰退期のどこに当たるのかを見極めることであり、現在のビジネストレンド、マーケティングトレンドは何かを探り、顧客のニーズを把握することです。
「蝙蝠の目」は、逆の立場で見たり、発想を変えたりと視座を切り替えることです。たとえば事業をみるとき、そもそも目的は何か、そもそも必要あるのかなどについて本質を外さずに視座を変えてみましょう。