笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

買い物やレジャーの拠点として全国各地どこでも見られるショッピングセンター(SC)。日本にはいったいいくつのSCがあり、その数はどのように推移しているかご存じでしょうか。今日は12月24日に記者発表された日本ショッピングセンター協会の最新資料をひもときつつ、SCについて考えてみましょう。

 

既存SC売上高の前年同月比伸長率の推移

 

2024年は館内イベント・近隣イベントの開催や大都市を中心にインバウンド客が増えたことにより来館者が増え、前年超えとなってます。1~3月はインバウンド客に加え、新年会や送別会などの団体利用によって飲食業種が館の売上げを牽引。気温上昇の影響で、夏物商材は4月頃から動きはじめ、残暑が長引いた9月頃まで高稼働しています。10月は気温が下がらなかったことにより秋冬商材が苦戦しましたが、雑貨や飲食が売上を支えました。

 

 

立地別でみると、中心地域の大都市はインバウンド客が売上を押し上げ、周辺地域はレジャー需要にも対応する広域商圏の大型SCが国内外旅行客の来館により好調でした。一方、中心地域の中都市に立地する近隣型SCについては、猛暑による外出控えなども影響し、伸び悩みました。

 

SC総数は2019年以降6年連続減少

 

新規開業数は36SCでほぼ前年並み。2022年(36SC)、2023年(34SC)と、コロナ禍で新規開業が激減した2021年以降の3年間では、開業数は35前後のペースで推移しています。平均店舗面積は前年より約6,310㎡減と大きく減少。店舗面積10,000㎡未満のSCは全体の約7割を占め、小型のSCの開発が目立ちました。

 

 

地域別の開業割合は、もっとも多いのが関東・甲信越(13SC)、次いで近畿(7SC)、九州・沖縄(6SC)が続き、上位は前年と同順位となりました。閉店の数が開業数を上回ったため、2024年末SC総数は前年末から2SC減で、2019年以降6年連続減となる見込みです。

 

では、オープンしたSCのテナントの業種別構成比はどうでしょうか。下図でご覧のとおり、物販がすべて前年より減少し、飲食とサービスが増加しています。コロナ禍前の2019年との比較では、衣料品が大幅に減少した一方、飲食が大幅に増加しました。コロナ禍でECの伸びが加速するなか、SC(リアル店舗)にはモノ消費からコト消費へシフトしている背景があります。SCがモノを買う場所ではなくなって久しくなります。

 

 

2025年の新規開業は統計開始以来最少

 

2025年の新規開業予定は16施設(2024年12月20日時点)で、統計開始以来最少。人口減少、市場の伸び悩みを背景にSCの飽和化が進んでいることに加え、資材価格、建築コストの高騰により開発を先延ばしにするケースもみられます。

 

開業予定の施設は1万㎡以上の施設が約8割で、うち3施設は5万㎡超の大型施設。商業施設を全国展開している大手デベロッパーによる開発が目立ちます。関東・甲信越が最多の8施設、都道府県別では埼玉、東京、愛知、大阪にて各2施設が開業予定です。

 

 

以上、モノがSCで売れる場所でなくなって久しくなります。その傾向が戻ることはないでしょう。自分が欲しいものがわかっていれば、もっと便利で、もっと迅速で、もっと安いかもしれない買い物手段があります。そう、インターネット上にあまた存在する「店」であり、楽天市場やアマゾンのような「商店街」です。さらには「メルカリ」をはじめとする個人取引のプラットフォームが市場規模を伸ばしています。買い物の場所はリアルからオンラインへ、買う対象は業者から個人へ。2025年はそれが加速するでしょう。

 

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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