先日、帰宅途中にJR西船橋駅構内を歩いていると、見覚えのある光景に出会いました。それは、多くの通行客でにぎわう生花の催事販売。栃木県鹿沼市を拠点に50ほどの店と売場を展開する「いわい生花」のものでした。コロナ前の2019年以来の再会です。
「皆の心に笑顔の花を咲かせよう」を使命とする同店の看板商品の一つが、色とりどりのかすみ草。それをタワーのように高く陳列する売場は遠くからでも目を引きます。かすみ草といえば主役の花を引き立てる脇役というイメージがありますが、同店のかすみ草はそうではありません。
店主の岩井正明さんは、脇役として陽の目を見ない、古くさい花と言われて人気が低迷していた白いかすみ草に着目。3年間の試行錯誤の末、レインボーカラーにキラキラ輝く七色のかすみ草を日本で初めて独自に開発し、「ロマンチックかすみ草®」と名づけたのは2005年のことでした。以来、彼は自身を「かすみ草王子」と名乗ります。
全国の産地から独自のルートで仕入れた同店のかすみ草は、特殊な加工を施しているため通常の3倍花持ちがよく、日本一のクオリティを誇ります。生花でも、ドライフラワーになっても、蕾からでも、信じられないほど長期間楽しめことは、これまでに経験してきました。世界中どこを探しても、同店でしか手に入らないオリジナル商品です。
しかし、私が西船橋を訪れたのは午後7時過ぎ。多くの商品がお客様に買われ、花を入れていた空のバケツのほうが目立っていました。だから私が最初に目をとめたのは、商品よりも、そこで働く販売員のほうでした。遠目からでも活気に満ち、丁寧に接客する様子がわかります。
そこにいたのが、2019年のときも会ったいわい生花の千野圭祐さんでした。久しぶりの再会を喜び、握手をすると、多くの花を扱ってきたことがわかる“働く人の手”をしていました。その手は5年前よりもしっかりとしており、彼は多くのお客様と花に向き合ってきたのでしょう。
結局のところ、良い店とは立派な店舗でも、DX化された仕組みでもありません。独自性を持った商品であり、人間性豊かな人なのです。いわい生花には、次の8つの行動指針があります。それがお題目ではなく、日々の仕事で実践されていることが千野さんの手を握ってわかりました。
行動1 お客様はいつも正しい、お客様から学ぶこと
行動2 自ら知識と技術と感性を高めること
行動3 365日24時間、全てのこと、全ての人から学び、日々勉強すること
行動4 プラス思考で素直に素早くスピード感をもって行動すること
行動5 全ての行動には理由と目的があることを常に意識すること
行動6 毎日の結果から学び、具体的な行動に結びつけること
行動7 スタイリストの人生を互いに尊重すること
行動8 お客様が悪いと感じたら行動1へ戻れ
催事売場にはもう一人、お客様への接客にあたる若者がいました。千野さんいわく「2代目かすみ草王子」とのこと。すばらしい! 良い先輩の仕事ぶりをしっかりと学んで、さらに商人として成長してください。
「うれしい再会」への1件のフィードバック
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