先ごろ、千葉県は水道料金の大幅な値上げの方針を明らかにしました。2026年度をめどに、市川市・鎌ケ谷市・浦安市の全域に加え、千葉市や船橋市など8市の一部地域で、約2割の値上げを行う方針だといいます。ちなみに私は船橋市に暮らしています。
こうした値上げは一部の地域の話ではありません。人口減少が進むなか、現在の水道サービスを維持していくとした場合、2046年までに全国にある事業体の約96%で水道料金値上げの可能性があるとの推計をEY Japanと水の安全保障戦略機構が発表しました。このうち762事業体で、30%以上の料金値上げが必要だといい、人口減少率が高い事業体や人口密度が低い事業体は料金値上げ率が高くなる傾向にあります。
水道事業は、私たち一人ひとりが使用量に応じて負担する水道料金で成り立っています。しかし、水道管や浄水設備の老朽化や、災害に備えた耐震化などの施設更新には多額の費用が必要で、維持管理費も高騰しています。また、人口減少や節水機器の普及により水道使用量が減り、料金収入が減少しています。
背景にあるのは「2025年問題」。日本の人口は2010年を境に減少を続けており、2025年には約800万人いるすべての「団塊の世代」(1947~1949年生まれ)が後期高齢者(75歳以上)となることで、国民の5人に1人が後期高齢者という「超高齢化社会」を迎えます。
ちなみに超高齢社会とは、WHO(世界保健機関)と国連の定義に基づき、65歳以上の人口(老年人口)が総人口(年齢不詳を除く)に占める割合(高齢化率)が21%超の社会のこと。なお、65歳以上人口の割合が7%超で「高齢化社会」、同割合が14%超で「高齢社会」といいます。超高齢社会がもたらす社会課題は水道料金だけではありません。
年金・医療・介護費の負担増大
労働力人口の不足
医療や介護におけるサービス提供者の人材不足
事業承継の困難化
こうした潮流の中、私たちにできることは何でしょうか。一つには、健康を維持して、自分自身の力で生きていくこと。その上で、誰かの助けとなること。拡大ではなく縮小を受け入れること。その上で、量よりも質の向上をめざすこと。少しでも先の未来に役立つ生き方をすること。
朝、寝起きにコップ一杯の水を飲みながら、そんなことを考えました。