笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

A コンビニエンスストア
B 美容室
C 歯科医院

 

これらは、まちなかで見かけることの多い店舗・事業所。では、多い順に並べ直してみてください。

 

B 美容室 26万9889(厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例」)
C 歯科医院 6万6843(厚生労働省「医療動態調査」)
A コンビニエンスストア5万5,959(経済産業省「商業動態統計調査」)

 

ご覧のように圧倒的に美容室。その美容室の淘汰が加速しています。

 

 

企業信用調査会社、帝国データバンクによると、2024年に発生した美容業(美容室)の倒産は、この8月までに139件。2023年の同期間に比べて約1.5倍となったほか、年間で最多だった2019年(166件)を大きく上回る勢いで推移しています。このペースが続いた場合、通年の倒産件数は過去最多を大幅に更新し、初めて年間200件台に到達する可能性があります。

 

美容室の倒産が急増した背景には、新規開店が続いたことによる店舗間競争の激化が挙げられます。加えて、円安や原材料高の影響によるシャンプーをはじめとした美容資材の価格高騰、スタイリストなどの獲得難を背景とした人件費などの各種コストアップが追い打ちとなりました。

 

こうしたコスト高を理由に、各美容室では施術費用の値上げなどを行っているものの、日本政策金融公庫調べによると、値上げをしても利益が「不変・減少」となったケースが8割を占めています。こにょうに施術費用の引き上げが難航し、不安定な経営が続いている美容室も少なくありません。

 

2023年度における美容室の業績を見ると、損益面で「赤字」となった企業は4割を占めています。また、物価高による家計の節約志向に加え、女性のヘアスタイルの流行が洗髪しやすいショートカット系へとシフトし、「カットは好調だが、パーマネントなど高単価の施術メニューが厳しい」といった声も聞かれます。実際に、支出額ベースではカットに比べてパーマネントの減少傾向がみられています。

 

足元では、顧客離れを懸念して値上げを見送る美容室も多く、相次ぐコスト増に耐え切れない美容室で市場からの退場がさらに進む可能性があります。座して倒産か、値上げにより活路を求めるか?

 

もちろん、単なる値上げでは生活者は離れていきます。価格変更を上回る価値提供があってこそ、値上げは生活者に受け入れられます。これは美容室に限ったことではなく、あなたの事業にも当てはまるでしょう。

 

価値を高める努力をしなければ、事業は続けられません。では、価値とは何でしょうか。それはお客様が感じてこそ存在するものです。事業者側が考える価値ではなく、お客様が実感できる価値をつくらなければなりません。

 

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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