花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かりき
ある居酒屋に掛けられていた作者直筆の詩の一片。この部分がクローズアップされることが多いのですが、全篇は次のとおりです。
風も吹くなり
雲も光るなり
生きてゐる幸福は
波間の鷗のごとく
漂渺とたゞよひ
生きてゐる幸福は
あなたも知ってゐる
私もよく知ってゐる
花のいのちはみじかくて
苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり
雲も光るなり
生きていることは、ただそれだけでも苦しくもあります。されど、ただそれだけでも幸せなことです。運命という荒波に翻弄されながらも、吹く風に一息つき、光る雲に明日を夢見ることもできるものです。日々の暮らしの中には、いいこともあれば、よくないこともあるのが浮世の定めです。希望を捨てずに、プラス1%の努力をしましょう。