北陸からうれしい便りが届きました。それは「農菓プロジェクト」の運営者から、東京・八重洲の石川県アンテナショップ「八重洲いしかわテラス」での試食・販売会の開催を知らせるもの。メールにはこう綴られていました。
「今年は10周年の記念イヤーで、何をやろうかなどと話していた矢先の元日の能登の震災でした。能登の農家や和菓子店メンバーも被災し、一時はどうなることかと心配しておりましたが、皆さん今は前を向いて一歩ずつ歩き出そうとしております。
夏の菓子歳時記『夜舟』も、今年は開催を断念しなければならないかと思っていたところ、今年3月に八重洲にオープンした石川県のアンテナショップにお声かけいただき、はじめて東京で試食販売会を実施することとなりました」
「農菓プロジェクト」とは石川県の食文化を広く伝え、農業者と和菓子業界の協業により活性化を目指す団体。「地元産の農産物を使っておいしいお菓子を作る」。そのことによって双方に共通する問題を明るく打開し、究極の「顔が見える」モノづくりを未来につないでいく、新しい菓子文化の創造を目指しています。
2014年に和菓子職人のグループが農家へ収穫体験に訪れたことをきっかけに、両業種が直面している問題や現状に共感しあい、協力して盛り上げていきたいという思いでスタートしたプロジェクト。「農×菓連携」をキーワードに、石川県の生産農家17社、和菓子店16店が参加しています(2024年8月現在)。
石川県は、霊峰白山の豊かな水の恩恵を受け、農業が盛んな土地。また、加賀百万石の時代から茶道が盛んで和菓子文化が栄えたことから「和菓子消費量日本一」の県でもあります。地元の農家が大切に育てた農産物で、和菓子職人が創造力と技を駆使しておいしいお菓子を作る。それが「農菓プロジェクト」なのです。
そして「夜舟」とは、おはぎ・ぼたもちの夏の呼び名。春は牡丹餅、秋は御萩、冬は北窓と季節によって呼び名が変わる菓子ですが、農菓プロジェクトの「加賀・能登・金澤 夜舟」は、石川県産もち米+1品以上の農産物を使用したメイド・インいしかわのオリジナル和菓子です。
プロジェクトメンバーは石川県内の生産者と和菓子職人。農家が作った農産物を使用して、和菓子職人が作ったお菓子の数々は、独創性に富んだもの、伝統的な手法で新たに素材の良さを引き出したものなど、個性的でおいしいものばかり。農家と菓子職人のこだわりが随所にちりばめられたお菓子を見るだけでも、石川県の食文化の豊かさがわかります。
八重洲いしかわテラスでの試食販売会は、8月23日(金)~25日(日)の11時から19時。農菓プロジェクトメンバーによる販売会や試食会のほか、茶バル(店内飲食エリア)では「加賀棒茶×夜舟セット」も提供されるとのこと。お近くのかた、和菓子に目がない人は、ぜひ足をお運びください。私もそうします。