笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

喜ぶ人を増やす意思決定

マネジメントの父、ピーター・F・ドラッカーによる「経営者に贈る5つの質問」。「この問いを怠るとき、事業の急速な衰退がやって来る」とドラッカーは言いました。

 

【第1の質問】私たちの使命(ミッション)は何か
【第2の質問】私たちの顧客は誰か
【第3の質問】顧客にとっての価値は何か
【第4の質問】私たちの成果は何か
【第5の質問】私たちの計画は何か

 

これら5つの質問は、経営者だけに向けられたものではありません。働く上で、そして生きる上で欠かせないすべての人たちが自分に問いかけるべき質問です。ここでは、私たちの計画について考えてみましょう。

 

8つの領域に目標を持つ

 

自分たちが実現したいこと(第1の質問)、誰をお客様とするか(第2の質問)、お客様に手に入れていただく価値(第3の質問)、それらがうまくいっているかどうかを測る指標(第4の質問)をここまで確認してきました。

 

決めたことを実行するにあたって実行の前の航海図が「私たちの計画は何か?」です。ドラッカーはこう言っています。

 

決定を実りあるものにする方法は一つしかない。
8つの領域それぞれにおいて、測定すべきものを決定することである。
何を測定するかによって、注意を払うべきものが規定される。
目標が目に見える具体的なものになる。

 

“現在”に成功するためには「マーケティング」が重要です。“未来”を創り出すためには「イノベーション」が必要です。それらは「ヒト」「モノ」「カネ」の資源に依存し、その資源を成果に変える領域が「生産」です。そして「売上と利益」は、「社会的責任」を果たしつつ事業をさらに良くしていくための蓄えです。

 

このとき、売上と利益は目標ではなく条件です。ゆえに、正しい表現は”7つの目標と1つの条件”となります。これら8つの領域に目標を持つことを教えてくれる問いが「私たちの計画は何か?」です。

 

• マーケティング(現在の事業を成功させるための目標)
• イノベーション(未来の事業をつくり出すための目標)
• ヒト(人的資源を生かすための目標)
• モノ(物的資源を生かすための目標)
• カネ(経済的資源を生かすための目標)
• 生産性(資源を生かすための目標)
• 社会的責任(それを果たすための目標)
• 条件としての売上と利益

 

喜ぶ人を増やす仕事

 

「うちの経営計画は売上だけですよ」という経営者は少なくありません。しかし、それでは経営者ではなく、営業部門の責任者の視点です。

 

経営の仕事とは、事業全体を見渡して「喜んでもらう人を増やす」ための意思決定をすること」です。つまり、喜んでもらう人=顧客を創造することが経営の目的です。そのために、7つの目標と1つの条件があります。ところが私たちは、気がつくと条件にすぎない売上と利益を目的化してしまっているのです。

 

では、事業全体を見渡すということはいったいどういうことでしょうか。ドラッカーはこう言っています。

 

事業は、顧客を創造することができなければならない。
したがって、マーケティングについて目標が必要である。
事業は、イノベーションすることができなければならない。
さもなければ、誰かに陳腐化させられる。

 

では、あらためて質問します。8つの領域、あなたの目標はそれぞれ何でしょうか?

 

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笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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