笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

形とその影のように、いつも一緒にいる様子を「形影相伴う」といいます。この言葉が当てはまるのが、コンビニとおにぎり。始まりは1974年、セブン‐イレブンが開業したときのことでした。

 

おににぎりは家庭でつくるものだった当時の常識を覆したところにその後の成長がありました。現在、セブン‐イレブンでは年間約21億個のおにぎりを販売。おいしさと手ごろな値段と相まって、コンビニおにぎりは日本国民の日常食です。

 

「えっ!」

 

先日、久しぶりにコンビニでおにぎりを手にとってみたら、思わずこんな声を上げてしまいました。どれも価格が200円近くするのです。私の記憶の中で、コンビニおにぎりは100円前後で買えるものでした。

 

コンビニおにぎりの定番中の定番と言えるしゃけおにぎりがセブンーイレブンでは189円(税込)。原材料や燃料の高騰により、2020年上半期と2023年上半期を比較するとコンビニおにぎりの価格は116.5%にまで上昇したとある調査会社はリポートしています。

 

価格に驚き、手にとったおにぎりを私は静かに棚に戻しました。こんな体験をした人は私以外にもいることでしょう。

 

しばらく後、こんなニュースに出会いました。昨日8月4日の日本経済新聞によると、セブン‐イレブン・ジャパンが主力商品のおにぎりで従来の主力品より3割安い低価格品を発売したとのこと。

 

コメなど原料高が続く中、おにぎりの平均価格も上昇。選別消費がコンビニエンスストアにも及び、スーパーの惣菜などとの競争も激しい。低価格で消費者をつなぎ留める戦略だと同紙は解説していました。

 

選別消費――自分がコスト(お金、時間、労働など)をかけるべきもの、かけるべき先をシビアに選択・選別する消費のことで、増税や災害、またはインフレ時などにはこの選別消費の意識が高くなります。コロナ禍の今日、しかもインフレが進む局面において選別消費の意識が大いに高まっていることが実感されます。

 

選別に残るのか、振り落とされるのか? その対策のひとつに低価格があります。しかし、それはあくまで「ひとつ」にすぎません。低価格によらない選別消費対策こそ、資本の限られた中小企業は探すべきときなのです。

 

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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