「鹿島立ち」という言葉があります。奈良時代、東国から筑紫、壱岐、対馬などの要路の守備に赴いた防人が、任地へ出発する前に鹿島神宮に道中の無事を祈願したことに由来すると言われ、希望、勇気、誓い、祈りといった晴れ晴れしい出発を意味します。
本日開店という日の朝、あなたはどんな思いで商うでしょうか。誰しも開店の当日は最高に店をきれいにするでしょう。お客様に対して最善の接客に努めるでしょう。そして提供する商品には万全の力を注ぐでしょう。そこには希望があるはずです。
そんな商いに触れたお客様は、必ず再び来店してくれるでしょう。それを知っている商人なら、朝、店を開けるのが待ち遠しいはずです。商いとは、心の中で「ありがとう」と言ってくれるお客様という名の友をつくる営みなのです。今日という新しい一日に、あなたは何人の友と出会えるでしょうか。
もちろん、良いときも悪いときもあるでしょう。だからこそ、一喜一憂することなく淡々と商いましょう。商いとは、毎日同じことの繰り返しです。毎日同じことを繰り返すからこそ、気づくことがたくさんあります。その気づきの中にこそ、あなたの商いを改善するヒントがあります。
ただし、思考を止めた惰性で商ってはなりません。本日開店の朝と同じ気持ちもってお客様を迎えましょう。開店前、店前を掃き清めるとき、お客様の気持ちを創造してみましょう。あなたの店は、その人の目にどのように映るでしょうか。
毎日が本日開店という日の朝の志をなくさなければ、お客様は利益をもたらしてくれるのです。あなたの中に、その志は今も燃え続けていますか?