これは あなたのお店です
いろいろなものが ここには揃えてある
この中の どれか 一つ二つは
すぐ今日 あなたの暮しに役立ち
せめて どれか もう一つ二つは
すぐには役立たないように見えても
やがて こころの底ふかく沈んで
いつか あなたの暮し方を変えてしまう
そんなふうな
これは あなたのお店です
この文章、じつは「暮しの手帖」初代編集長、故・花森安治による編集方針を倣ったものです。本来は「お店」が「手帖」、「もの」が「こと」、「揃えてある」が「書きつけてある」となっています。同誌を開くと、裏表紙に今もこの文章が記されています。
私が多くを学ぶ場となった「商業界」と同じ年に創刊された、生活者のよい暮らしを理念とする雑誌です。生活者と商業者と、読者対象は異なりますが、同誌創刊者から私も多くを学びました。
「こんどの戦争に、女の人は責任がない。それなのに、ひどい目にあった。ぼくには責任がある。女の人がしあわせで、みんなあったかい家庭があれば、戦争は起こらなかったと思う。だから、君の仕事に、ぼくは協力しよう」
こちらは『花森安治の仕事』(酒井寛著)の一文で、君とは「暮しの手帖」創刊者、大橋鎮子。戦前、戦意高揚の仕事に携わった花森が大橋から協力を請われたときに言った言葉として知られています。
こうした強い思いが名雑誌の原点にあります。使命感が本物をつくる――これは、どんな仕事にも通じる真理です。あなたの商いの使命感はどうでしょうか。商人として何をどう売るかは、人として何のためにどう生きるかと同じです。こんど教えてください。
【今日の商う言葉】
商人として
何をどう売るかは
人として
どう生きるかと同じだ