商業は、生産者が直接その場で販売する原初的なかたちから出発しました。その後、専門の集荷業者が売り歩く時代を経て、販売だけを専業とする商店が生まれました。さらに輸送業や卸業へ、そして商品別、地域別といった分業化が進む社会になりました。
近代社会では、生産体系別業種型から購買局面別業態型への発展を遂げました。結果、価格競争が激化し、大量生産と大量加工、大量販売と大量消費が起こりました。こうした社会の変化が、チェーン理論による画一化、標準化こそ購買者の信頼に応える道だと認識させたのでしょう。
確かにそれは効率的で、資本収益も高まりました。だから、多店舗展開した総合業態が商業流通の主力になり、産業化したのです。けれども、標準化の焦点が使う側から提供する側に置かれるようになりました。
それを打ち破れるのが、これからの専門店です。画一型多店舗経営にはできない、人間的な店にお客様は集まる時代です。。専門店でなければできない仕事が、ここにあります。
価格より付加価値のほうが重要だと大企業も認知しはじめていますが、完全には対策を実行できません。経営者や仕入れ担当、店長まで、土着の人間ではないことだけでも無理がります。この点から、地域商業者はもう一度、お客様と正面から真剣に話しあうときなのです。
「地元のお客さんのことは、自分がいちばんよく知っている」という言葉を、その土地で長く営業してきた商人から聞くことがあります。本当にそうなのでしょうか。そういう店に限って、店頭のディスプレイも品揃えも十年一日だったりします。
あなたの生活様式や消費行動が変わっている以上に、お客様のそれらは日々刻々変容しています。それを知らないのは、もしかしたらあなただけではないでしょうか。お客様を知り直すところから始めましょう。
【今日の商う言葉】
信頼ある店として
信用ある商品を
納得価格とサービスで提供
この三拍子が本当の専門店だ