「商いの業は美しいものである」
こう高らかに謳いあげたのは、商業界創立者、倉本長治の盟友、岡田徹です。彼が遺した『岡田徹詩集』は、何かを考えごとをするとき、何か思いを固めるとき、私がときおり読み返す書物の一つです。
今日もそんなときがありました。詩集の中の一篇を、皆さんにもシェアしましょう。
お客が求めているものは
その日の糧ばかりではない
買物を通じて
商人の人間としての
美しさを求めているのだ
お客を隣人として尊敬し
寛い心でお客を仲間としてつつみ
お客によい買物をさせようとして
専門家としての知識を与え
仲のよい友だちとして
お客が店へ来てくれたことを喜び
損得を忘れて
お客のために心をくだく
愛情を求めているのだ
半世紀以上前に書かれた詩集ですが、今も多くの商人の心を打ちます。岡田が商人に求めつづけたのは、人間としての心根の美しさでした。時代が変わろうと、この真理は変わりません。
拙著『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』に続く書籍企画を練りながら、考えました。自分に詩作の才があるかどうかは定かではないけれど、いつか岡田のような詩集を書いてみたい、と。