笹井清範OFFICIAL|商い未来研究所

長野県の中東部にある佐久市。JR小海線の岩村田駅から東へ500mほどのところにある岩村田本町商店街を久しぶりに訪れました。

 

まちの人たちの要望にこたえ、コミュニティの担い手となろう――。侃侃諤諤の議論の末に行き着いた理想の商店街を実現しようと、空き店舗を使って自ら事業を起こしたことで知られる商店街を取材したのは2014年のことでした。

 

そのときインタビューをしたのが、阿部眞一さんでした。久しぶりに街を見て、現在進めている計画を聞いて思ったのが、発言にぶれがないこと。皆さんにも参考になると考えるので、紹介します。

 

 

「商店街の原理原則をもう一度考え直そうと、皆で考え続けました。歴史をさかのぼって、この岩村田が中山道の22番目の宿場町として繁栄してきたころ、ずっと前の代の人たちはどう考えていたのか? 一気に店が集まったわけではないだろう。必要とされる個店が一店、二店、三店と集まり、その集合体となったはず。やはり各店舗がきらりと光る店でなければと思いました。

 

それで自分たちの店の“在り方”もわかってきました。後継するとは、けっして業種業態をそのまま引き継ぐことではない。創業の精神を継ぐことなんだって。そして、誰のための商いなのか、何のためにやっているのか、自問自答を繰り返した結果、地域に住んでいる人のための店をつくること、地域のための商店街をつくることなんです。

 

当たり前のことなんですが、そこまで自分たちでひもといて、やっと納得できたわけです。変化対応も問題解決もできていなかった商店街の問題点がはっきりとわかってきました。

 

地域で本当に求められている店になること、そしてコミュニティの担い手となること。商店街の求められている機能をはっきりと知ることができ、空き店舗対策にも目的をもって取り組むことができました。

 

これだけの事業を商店街としてやってこられたのは、ここまで徹底して、自分たちの根っこを探った結果です。地域の人たちと共に暮らす、働く、生きる、そんな商店街を目指そうという方針はこれからも変わりません」

 

 

岩村田本町商店街では現在、こうした「このまちの人たちと共に暮らす、働く、生きる」方針のもと、新たな挑戦が始まっています。店はお客様のためにあり、商店街はまちの人たちのためにあります。

 

こう考えたとき、商店街はその名を「生活街」と変えるべきときをすでに迎えています。

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笹井清範

笹井清範

商い未来研究所代表
一般財団法人食料農商交流協会理事

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